年金上限月15万円制度が日本を救う〜もしフリを読んで

「もし小泉進次郎フリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」を読了した。


素人なりにまとめると、国債破綻のリスクを織り込めなくなった公務員、金融業界、政府が互いに責任をなすりつける形で国の借金をどんどん増やしてしまったと。
結果、近い将来、国債の引き受け手がいなくなって円安、株安、インフレに陥る可能性が高いと。


問題は国の歳出をいかに減らすかであり、実体経済に何らかの構造的問題があるわけではないと。



さて、本の中で気になったのは最低年収81万を保証する負の所得税制度である。
これは年金、生活保護、失業保険、医療保険(?)などの社会保障をまとめたものであり、別にべーシックインカムで何でも良いんだけど、問題は81万円という金額である。


この数字がどこから出てきたのかよくわからなかったが、果たして81万円で全ての国民が老後の心配をしなくて済むだろうかちょっと考えてみた。


健康な人(医療費0円)はカプセルホテルのような寝床に広いリビングを足したシェアハウスみたいな賃貸で生活できるとしてみよう。
仮に家賃を月1.5万まで下げられるとして、家賃に年間18万円。食費をみんなで共有することで月に4万円として、48万円。
一生医療費も含めてこの81万円で保証されるなら貯金をする必要はなくて、残り15万円が一年間で自由に使えるお金となる。


ということで、全く生活できない金額ではなさそうである。




問題は老後、健康に障害を来したときに生活できるかである。



今、田舎の病院では4人部屋の病室なら9万円ほどで、どのような病状であっても医療病棟、介護病棟、老健施設などを活用して一括して診てくれるところがある。
特殊な医療施術には健康保険を適用するために転院などの処置が必要になるが、ベットサイドでできる程度の治療なら薬代も含めて「まるめ」という制度で9万円の中で処置してくれる。


ということは、例え身寄りが全くなくても月に9万円さえ払えば、一生生きていく上で困ることはないということである。
但し、このままだと年間108万円で足が出てしまう。



そこである程度働ける人に病棟業務を部分的に手伝って貰うということで入室して貰うなどの処理をすることでコストカットすれば、何とかなるかもしれない。
その場合、一人6.75万円だからかなりきつくなるが、実務を手伝うことで看護師・介護士・行動療法士などの資格を比較的簡単に取れるようにするなどの優遇処置を設ける必要があるだろう。


そんなわけで81万円は少しきつい印象を受けるが、ボトムラインはこの辺であることはわかった。
仮に1億2千万人の4割の人がこれを必要とすると、だいたい39兆円必要になる。日本の税収が40兆円くらいであることを考えると、毎年の歳入だけで賄える感じはしない。




ところで、最近知り合いから聞いた話。
その家では、90歳くらいのお婆ちゃんと息子夫婦が暮らしている。お婆ちゃんは亡くなったお爺ちゃんの遺族年金が加算されて月に20数万円年金を貰っている。
60歳を過ぎた息子も一応誰もが知っている一部上場企業に勤めていたおかげで通常の年金に厚生年金、企業年金が加わって月に40万を越える年金を貰っているそうだ(その人は役員でもなければ、部長でもなかった)。
3人合わせると月に70万以上の年金収入があるとのこと。もちろん、家はすでに持っています。
本人たちもこんなに貰っていたらいつか日本が潰れるわとわかっているのもあって、企業年金を返上して働いているそうだ(働いて収入を得ると一部の年金は貰えなくなる)。
そこでの収入は企業年金よりも遙かに少ないが、日本のためと思って誰もやりたがらない下請け仕事をしているとのこと。



それにしても、老人3人が暮らしていくのに月70万円が多すぎるのは誰もが納得できるところ。しかし、そんな事実はほとんど表に出てこない。
何故なら、テレビ局を含めたマスコミの人間もその恩恵を受ける第一人者だからだ。



また、日本のほとんどの大手企業はこの年金積み立て不足で潜在的な赤字を抱えているといいます。



そこで提案なのですが、将来的に円安、株安、インフレ傾向が出てきたとき、小泉進次郎橋下徹どちらでも良いですが、どちらかをトップに据えて、年金支給額一人上限月15万円制度を掲げて国政選挙をしてはどうでしょうか?
(15万の根拠ですが、最初に挙げた病院では13万円で個室に入れます。都会だと少し高くなることを考えて決めています。)
もちろん、漫画の中のような展開でこれを打ち出しても良いでしょう。



現行の法律では不可能なので、その関連の法律を変えることを争点にするわけです。



但し、いくつか条件があります。
基本的に今の年金で支給される金額の算定方法はそのまま維持します。
上限が15万円なので、6.75万円しか支給されない人はやはりそのままです。


減るのは月に15万円以上貰っている人たちだけです。


恐らく住宅のローンが残っているという人もいるでしょう。そのため、15万円を越える金額は住居している住宅のローン返済についてのみ支給可能とするわけです。(医療費を含めるのもありでしょう。)


こうすることで、恐らく年金を貰う前に家を新築する人が増えるでしょう。しかし、それだけ建築業界に仕事が増えるので、内需の掘り起こしという意味では役に立ちます。


もちろん、この制度はある種の不動産バブルを引き起こすでしょう。
しかし、アメリカのサブプライムローンが返せもしない借金で家を建てていたのに対してこちらは本来得るはずだった収入を当てているので本来のバブルとは少し違います。


また、本人が死んだときに支払いをしなくて済む生命保険付きの住宅ローン制度を少し厳しくすることで死ぬ直前に家を建てるといったことは防げます。



家を建てるのは、女の大きな夢であり、家を一度建てた人はもう一回建てたいと必ず思うそうです。
そういった夢をもう一回経験できることで、老人に活力を再度与える効果もあります。


この制度を最低年収81万円と組み合わせて施行することで歳出の大幅削減が可能ではないでしょうか?