日本の科学力と成長率と主婦の収入をいっぺんに増やす方法

今回の提案で次のようなことが実現できます。


一般の人の科学に対する理解が深まります。
雇用の問題が一部解決します。
一般の人と科学者の認識のギャップを埋めることが出来ます。
主婦の収入を増やし、日本の生産性を底上げすることが出来ます。


科学理解という意味で、今年一番問題になったのはやはり放射能問題です。


結局、原発の問題も放射線医学に一番詳しい人達から、普通の科学者や医師への情報伝達、そこからの一般の人への啓蒙が足りないことが過剰な反応の原因となっています。


こういった問題を解決する意味でも今回の提案は有効だと思われます。


具体的には寄付の仕組みを活かすということですが、現行制度のままでは寄付を得られる期待値やメリットが少なすぎてほとんど機能していない状態です。



そこで、寄付を受ける方にもする方にもインセンティブが働く方法を提案してみます。


最初はすでに予算を獲得している人だけが寄付を受けられる仕組みの方が効率が良くなると考えていましたが、デメリットとして、予算を獲得していない、獲得できない残り80%の科学者がお茶を引くことになってしまうこと。予算配分を決定する側の既得権を余計に釣り上げることになってしまうので、誰でも参加できた方が良いと考え直して案をビルドアップしてみました。


研究者サイド
まず、一回で受け付ける寄付の額によってエントリーできる枠が異なるようにします。例えば、10万円以下、100万円以下、1000万円以下、それ以上といった具合です。
さらに前年度の獲得予算額によってエントリーできる枠に制限を加えます。
具体的には図を見て貰った方が楽ですが、基本的に自分が得た研究費の総額と同じものと一つ上か一つ下にしかエントリーできないことにします。
エントリーシートは毎年一人A4で1枚分のみ。但し、詳細を説明するためのWebのリンクによる誘導はあり。
それとは別に各年度で得た予算額と寄付の総額とMインデックス(PIの場合)も線グラフのチャートで併記します。これは官庁の持つデータベースで自動的に表示されるようにすれば良いです。Mインデックスに関してはこちら。


【コラム】PIの新しい評価方法・M index と I index - AMOKNの日記


こうすることで、科学者側は一般の人に説明するアウトリーチの活動に必死になります。


寄付制度.jpg


寄付する側
寄付する側は、1回で寄付する金額によって四つの枠組みから興味のある分野のエントリーシートをみて寄付する先を決めます。受付を文科省にしておけば、省益にもなるので喜んでやるでしょう。


但し、これだけでは誰も寄付しません。
そこで寄付をしたいと思わせる仕組みを二つ作ります。


1)寄付した人の名前が一生残る
論文の謝辞に寄付してくれた人トップ3以上の名前を入れるようにします。
今でも研究費をどこから貰ったかは書く必要があるので、それと同じことです。
しかも、自分が寄付した相手の寄付ランキングで何位にあるのかを寄付すると分かるようにしておきます。すると、追加の寄付をしてランキングを上げたいというインセンティブも働くでしょう。
名前を残したいと考える人はマイナーな研究だけど、論文が確実に出そうなところに寄付をするという気持ちにもなるし、そういった研究をしているところを紹介するサイトといった研究者の副業サイトも現れるかもしれません。
尚、PIの場合はreviewの謝辞に載せることで1st authorとのバッティングが避けられます。普通の論文の場合は1st authorの寄付を優先ということです。


2)税金が控除される
最も大事な仕組みが次になります。
寄付をするとそれと同額だけ所得控除になるという仕組みです。
つまり、100万円寄付すると、所得から100万円減ると同時に残った所得のうち100万円が所得控除になるというわけです。


すると、この仕組みを利用したい人たちが主に3つ出てきます。


a)企業
見かけ上収益が無いようにしたり、独占する必要は無いけど進んでほしい研究分野がある企業です。
利益相反の問題もありますが、研究者側で辞退したり、もしくはちゃんと宣言すれば問題ないでしょう。


b)税金を減らしたい人
各種控除後の所得に税金がかかるため、税率が変わった人はできれば、下の税率のグループに戻りたいはずです。そういう人たちが下のグループに入るための分だけ寄付してくれるでしょう。その際、どの研究が良いかじっくり見てくれれば科学に対する理解も深まりますし、研究者側も理解できるモノを書く必要が出てきます。


c)扶養家族で居続けたい主婦
現行制度では103万円を越える収入を得てしまうと、扶養家族ではいられません。そのため、あえて仕事をセーブして働いている有能な主婦がたくさんいます。この制度を廃止すべきという考え方もありますが、150万円分働いて25万寄付することで最終的に所得を100万円に抑えつつ、実質的に得られた賃金を125万にすることが出来ます。300万なら100万円寄付して、残るのは200万、申告は100万の扱いです。
こうすることで、本人が望む金額で扶養家族から離れて独立できるようになります。
この制度の一番のメリットは潜在的に眠っている有能な主婦の力を利用できることです。


その他のメリット

寄付の金額にもよりますが、直接投資が増えるので科学研究費に対する財政支出を削ることが出来ます。


寄付の文化が育ちます。


実質的な研究費は増えるので雇用が増えます。


新たに雇われた人たちを中心に科学に対する理解が深まります。


所得税の歳入は減りますが、生産性が増えたり、研究費は貯蓄されること無く必ず使われるのでその分消費税による歳入が増え、全体的には成長率を上げる効果があるでしょう。



尚、寄付したお金がマネーロンダリングや研究者の懐にはいるだけの心配をする方もいるかと思いますが、最近の研究費の扱いは非常に厳しくなっていて、3万円の試薬を買っただけでも事務の人がそれを確認しにくるといった大学もあるようです。懲罰のリスクを考えるとそういったことになるのは稀でしょう。


日本の技術力を国民の目で判断して発展させていきつつも、生産性や雇用の問題も解決できる案だと思いますが、いかがでしょうか。