【コラム】解雇規制の解除に企業が賛成しない理由

ポスドク問題も結局は解雇規制の問題の一部に過ぎず、そこを変更しない限り絶対に解決しないことは以前書きました。
また、企業の業績の悪化で内定していた学生に辞退書を強制的に書かせたり、入社後もいじめ抜いて辞めさせるなんて事件も起きています。

そんなに苦労して辞めさせるくらいなら、自民党みんなの党が提案している解雇規制緩和に賛成すればよいのに、むしろ、大々的にプッシュすればよいのにとすら思うわけですが、何故かそんな空気は一切流れません。

労働組合が反対するからでしょうか。

私も、先の読める安定した生活を維持するためにも解雇規制は維持していた方が良いと思っていた時期もありましたが、今は全く逆に考えるようになりました。

企業が解雇規制解除に賛成しない理由。
それは社員に払う給与の総額が上がるからです。今、優秀な人でも会社を辞めないのは、辞めても再び今以上の条件で雇ってくれるところがないからです。自分に合った別の職があるとわかっていても、辞めることによって失う年金や生涯所得を考えるとよほどやりがいのある仕事でない限り踏ん切りがつかないでしょう。
しかし、解雇規制が解除されてクビを切り放題になるとどうなるか。
優秀な人はどんどんお金のある会社に引き抜かれるリスクがありますから、会社としては業務のキーパーソンになる人はそうならないように給与や就労条件を良くせざるを得なくなります。

今は辞めるという選択を選べないために、職場でのストレスから休職したり、自殺したりする人が多数いますが、そんな人もそういう心配をしなくて済みます。給与は少し下がるかもしれませんが、働きがいのある、働いていて気持ちの良い職場に簡単に移ることが出来るからです。

ブラック企業なんかもかなり減ることが予想されます。少なくともここを辞めたら後がないという人が減りますから社員に対して無茶な要求はしづらくなりますから。

それでも、いやいやそれは優秀な人にとっては良いかもしれないけれど、何の取り柄もない自分には失業のリスクが高まるから嫌だという人も多数いることでしょう。でも、そうでもないのです。確かに全体的には格差は広がるでしょう。しかし、同時に頑張れば頑張るだけそれがポジションや給与に跳ね返る社会でもあるのです。転職しやすいということはそれだけ自分に合った職を探しやすいということでもあります。自分にあった職、自分が好きな職や職場、自分の最も得意とする部分をのばせる職、そんな状況で頑張れば、それがそれだけ給与に跳ね返ってくる社会なのです。今は悪い平等主義のせいでそんな努力も全く個人のかって、個人毎の責任感に押しつけられて評価される機会も少ないですが、そんな努力が評価につながる社会なのです。

まぁ、企業が反対する一番の理由はやっぱり労働組合の意見を尊重していうことなのでしょう。でも、一番最初にクビを切られるのは組合の人ですからね。組合の人が守ろうとしている一般の職員はむしろ、もっと待遇が良くなる可能性が高いわけです。

解雇規制解除に対するまとめ

優秀な人材を適時揃えることが出来て業績が上がる可能性が高いが、同時に支払うべき給与も増え、優秀な人材が抜けていくリスクがある企業側。つまり、メリットもデメリットもあるのが企業。

自分にあった職場を探せるメリットがある一般職員。但し、能力不足だと、どんどん給与は下がっていくリスクがある。とはいえ、自分の好きなことで頑張れるという条件はそんなデメリットも打ち消すと思うので、実は一番メリットがあるのが一般職員。しかし、ほとんどの人が思考停止していて起業、独立、転職を考えていない。

解雇規制解除されると一番困るのが労働組合・公務員の人達。もう我がの為に反対するしかない状況。他の二陣営にメリットがある分、実は民主党が政権から外れると一番やばいのがこの陣営です。若者と高齢者の労働機会の格差問題ともリンクしており、解雇規制解除後はドラスティックに世界が変わる可能性があります。今の30代40代の人達はそんな激変に備えて今何をしておくべきか考えておいた方が良いでしょう。