【本】ゆるく考えよう / ちきりん

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法


2010-12-20

読み始めてすぐに感じたのが、時事ネタを取り除くとこんなにも毒気が無くなるものなのかということ。
検察が逮捕したい人とか、引用もののネタは封印されている。

そのこともあって、この本の主張を全く逆にした主張も実は全然ありだよねとも感じた。一般書籍としてリスクを取らない書き方をしているため、その辺にある人生指南書や自己啓発本とは違うことを書いてはいるけど、本質的なところは前提条件として書かれていないのです。


ほとんど一度は読んでいるネタなので、もはや何が面白いのか、何が新鮮な物の見方なのか、さっぱりわからなくなりますが、たまに出てくる読んだことないネタはほほ〜っと思うので、ちきりんの日記をほとんど読んだことない人はきっとかなり面白いはずです。


この本で書かれているのは、家柄も良くて、個人で手に入るものは何もかも手にして、世界中のあらゆるところを旅行し、さらに文才まであるちきりん氏が十分な貯金も出来たし、もっと他のことをしてみたいと感じて、それをする踏ん切りをつけるための自分に対する言い訳を書籍化したものなんですよ。正直、ちきりん氏のポジションにいる人って日本人全体の上位1−5%くらいですよ。言わば、超勝ち組の人が、周りの勝ち組だけど、ヒィヒィ言いながらそのポジションを維持しようとしている人達を尻目にもっと面白そうなことしたいという宣言書ですよ。


これは池田信夫氏や磯崎さんが起業をすすめるのと同じ理由なんです。本流からしたら半端ものだけど、その本流の人達がうらやむような生き方をしてやるという強い意志がこの本になっているわけです。


しかし、面白いのはちきりん氏がtwitterでRTしているほとんどの人の感想が
普段感じているけど、言葉に出来なかったことが書いてあって面白かったですとか、同じ意見でしたとかいうのが8割以上なところ。


ちきりん氏や池田信夫氏や磯崎さん達と同様のポジションにいる人にとってはドンぴしゃの本なんです。でも、そうじゃない人にとってはどうなんだろうと思うわけですが、そんな人がそんなに沢山いるのかなと。



特に会社を辞めるかどうか迷っていましたが、辞めることにしましたという人達が結構いるわけです。そういう人達って、次にすること決まっているのかなとちょっと心配になります。今のポジションのまま、助走をつけることも出来ると思うけど、ちゃんとそうしているのかなと。



あと残念なのは、ちきりん氏がカツマーに負けている点。
それはやっぱり自分の子供がいるかどうかという点です。


子供を作る必要はないとか、そんなのは自由だというスタンスを取っているわけですが、実際に自分の子供を持ったら、そんな意見には絶対ならないわけです。結婚に関しては確かに自由だと思います。してもしなくても良い。でも、子供を持つ人生と持たない人生では、その世界観は10倍違うと言っても過言ではないでしょう。こればっかりは持ってみないとわかりません。その意味で、さらに一歩踏み込んでシングルマザーでも何でも良いので子供を持つ、さらにはもっと自由な子育ての在り方を提案してくれるとリーチ出来る距離はもっと伸びると思いましたね。もう、手遅れなんですが…とはいえ、前の大学の知り合いは49歳で双子を妊娠していました。もちろん、IVFなんですが。これなんか、凄い人生ですよね。