【コラム】ものを売ることの意味

インターネットが普及してきて、ようやくものを売ることは情報を売ることだということが実感出来、応用出来る時代になってきた。

例えば、車を買うという行為は車というものを買っているのではなくて、車というものを無料で手に入れる情報を買っているというのが正確な理解の仕方である。それを一元的に理解しやすいようにするため、ものを買っているように感じる制度を作ってきただけなのである。

もし、車のものの値段が決まっているのなら、交渉次第で値段が変わること、販売直後に売りに出された中古車が日本だと半額になること、国によって同じ車の値段が違うことの合理的な説明は難しい。もちろん、それは手数料だったり、販売促進の為の裁量権、輸送量などで説明されるものだけれど、実はそれらも情報の積み重ねに過ぎない。

車だと複雑なので、大根を例に取ると、大根を売るということは、大根はどうやったら育てられるのか、どういう土地が良いのか、どういう季節に育て始めたらよいのか、肥料は何をやったらよいのか、普段の手入れはどうしたらよいのか、そういった情報を買っているに過ぎないわけ。

では、何故、大根の情報を買うと、大根が付いてくるのか?

それは情報の非対称性を維持して、同じ情報で何度もお金を取るためなんです。
いわゆる決まった仕事が無かった時代なら、そういった情報だけで大根を育ててしまえば良いわけです。そうすれば、買い物は一回で済みます。しかし、大根を渡してしまうことで、作り方の情報を与えずに情報を売ることが出来ます。

大根を売るという非常にシンプルな商いの中に実は今のインターネット企業がしている商いの方法がすっぽり当てはまります。iTunesでもモバゲーでも良いですが、システムをブラックボックス、もしくは企業側が握った状態でお金を取り続けるシステムです。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、まず、ものは全て情報の塊に過ぎません。そして、インターネット時代になったことで、情報を切り売りすることが出来る時代になりました。よって、これからは情報をいかに上手に切り取ってお金に換えるかが勝負の時代になっており、扱うものが情報故に個人でもローリスクで勝負を仕掛けやすい時代にもなっています。

恐らく起業家にとって足りないのはエンジニアリングですが、そういう情報すらも起業のきっかけになり得ます。

その場合、以前記事で紹介したQuirky.comとKickstarter.comを足したようなサービスを事業化すればよいわけです。そのためにエンジニアが必要という卵が先か鶏が先かという問題はあるのですが…
http://d.hatena.ne.jp/AMOKN/20110109

ということで、この切り口でもう少し既存のビジネスを考えてみます。