【コラム】全く新しいテニュアトラックシステム

ネタは全部思い出したのですが、今は書くべき時じゃないように感じるのでいつかまたそれは書きおこしたいと思います。さて、今回のネタは最後に思いついたネタ度が高いものです。よって、最初に書こうかと思っていましたが、最後に書くことにします。

大学で10年以上論文を発表していない教授がいる。そういう人は辞めるべきだという意見が一部にあります。実際、がんセンターではそういう部長さんを全部クビにしたことで訴訟が起こっているそうです。不当解雇だと訴訟を起こすと裁判所が裁判中給与を払うことを命令するらしいので、働かずに給与を得ることが出来、その間に再就職先を探せばよいので訴えるのは非常に合理的な行動です。


一方、アメリカと違い、再就職先がほとんど準備されていない日本ではクビになる=ニート、ホームレスも同然です。そこで、左巻きの人を力も作用して、犯罪でも犯さない限りクビにならないシステムが出来ています。また、大学では降格人事もないことになっているので、ポジションをスライドさせることで何とか左遷に似たことをしていたりします。


アカハラやセクハラを起こすような教授はそれだけ積極性があるので、そういうクビの対象になるような人ではなく、ずっと居座ったりしているのも問題になったりします。黒い噂は拡がりやすいので、上の大学に栄転ということも起こりにくいというのもあります。


さて、そういった問題を一挙に解決するのが、今回の全く新しいテニュアトラックシステムです。


まず、教授の仕事を内容毎にブロック化します。
また、それぞれのブロックの仕事に応募出来るのは、学内審査を通過した指導教官全員が対象になります。つまり、助教以上全てです。よって、ある程度一定の業績がないとその資格は得られなくなります。今までみたいに教室の古株でとりあえず席を埋めるなんて非効率なことは出来ません。



教育
教育に関しては、2年生の生化学、生理学、3年生の薬理学、学生実験などとブロック化し、それぞれに応募してもらった後、応募者の授業の進め方など抱負をまとめたサイトを構築し、次に授業を受ける学生にどの人の授業を受けたいか投票して貰い、上位二人が選出されます。
上位二人はじゃんけんでもくじでも良いので、かわりばんこに講義の内容を折半して選びます。
5年後なり、3年後にどちらの先生の授業が良かったか、学生にアンケートを採り、人気のあった方に継続の権利が与えられます。公平を期すため、アンケート内容は担当した先生にも一部作ってもらうようにします。よって、基本的にもう一つのブロックが競争の対象になります。

これで、どんな内容でも良いのですが、わかりやすく面白い授業をする先生が残るようになります。



研究指導
入学してきた大学院生、修士の学生、上級生、ポスドク全員を集めて、自分の与えたい研究テーマについてプレゼンします。最初はテーマのタイトルだけを配布して、より詳しく知りたければ、直接会うなり、より詳しい資料を配るなりします。
学生は、その中でやりたい研究テーマに投票し、複数いた場合はその中から指導教官が学生を選びます。雇う余裕があるならポスドクを引き抜くことも出来ます。
さらに学生は3人の指導教官を毎年選出することが出来ます。こちらも、人気の先生は学生を選ぶことが出来ます。
また、これは毎年開催されるのでテーマを変更したり、追加したり出来ます。追加の場合は現在の指導教官の許可が必要です。
ここで、誰も学生が付かなかった先生は研究指導のブロックを取ることは出来ません。
もし、お金に余裕があるようならポスドクを雇うことで、ブロックを取ることは出来ます。


論文執筆
コレスポは研究指導の先生が取りますが、論文執筆だけに特化したブロックも作ります。学生は指導教官としてこの枠の人から人を選ぶことも出来ます。
こちらも5年間での生産性により、半分入れ替えとします。


大学運営
寄付集め、学生の生活指導、各種運営委員会、学生実験の手伝いなどいわゆる本当の雑用担当です。



で、これらの内、2ブロックを取ることでフルタイムの給与が貰える事とします。
研究だけに専念したい人は研究指導と論文執筆を取ることになります。
尚、応募だけなら全てのブロックに出来ます。そのうち、当選した好きなブロックを2つ取れば良いだけです。当確した先生が辞退すれば、下から格上げになり、全く人気のない先生も場合によってはポジションを得ることが出来ます。
1ブロックだと、給与は半分になります。その代わり、取ったブロック数に関係なく副業を認めます。転職の準備にもなるし、副業をしてでも学生の人気を維持出来るならそれもありでしょう。大学の給与はこれからもどんどん下がっていくでしょうから、副業で各自が補えるようにすれば才能のある人も大学に残ってくれるかもしれません。

以上、全く新しいテニュアトラックシステムでした。お分かりのようにテニュアを取って全く安泰という状態には基本的になりません。常に生産性が求められます。研究予算を取っていなければ、それに見合ったテーマも与えられません。アカハラ先生には誰もつかなくなるから、態度を改めないとそのうちクビになります。