【コラム】PIの新しい評価方法・M index と I index

三つ目のネタを思いついたのだけど、最初の二つのうち一つが忘却の彼方に行ってしまったので予定通り二つ。


PIの仕事は学生を育てることなんだけど、別に特別な指導をする必要は無い。とはいえ、理想のPI像はあってそれは後日まとめるとして、どんなにCNSなどの業績が出ていても学生が60人もいるラボで、年間2、3報のうち1報がサイエンスではラボに入った学生はたまったものではない。

そんなときに役立つのが、M indexだ。
聞いたことないって?だって、私が考えたものだから。
実はMentor indexを略しただけ。


これは指導教官としてどれだけの仕事が出来るヒトかを計る指標です。

サイエンスの世界では論文が出てなんぼ。利益で図れるビジネスの世界では、どこまでがその人の貢献かを計るのは意外と難しい。しかし、サイエンスの世界はシンプル。pubmedで調べればすぐに業績がわかります。

基本的に必要な情報は、助教などラボで指導する立場の人数、修士と院生+ポスドクの数(学部学生はテクニシャンと同じとみなす)、そして業績。
業績はreviewを含むpeer reviewを受けたもので、ラボヘッドがコレスポもしくはラストオーサーである英文の論文数。あと追加でインパクトファクターやH indexを絡めてもよいけど、指導教官としての資質をみるのにH indexは不要なのであとはインパクトファクターくらいだろうか。

それぞれできれば年度ごとの情報が欲しいところだけど中の人じゃないとわからないこともあるだろうし、とりあえず、人数は計測時ということにします。2010年なら2011年1月にいた人数ということ。


さて、indexは単純に学生が4年間に1報出せれば、1になるのがわかりやすいでしょう。
要するに卒業するまでに1報書けるラボかどうかということです。これが、2や3なら尚良しということです。
分野によって生産性が違うというのなら、分野ごとに情報をまとめればその分野の中での生産性も一目瞭然。

本当は、10年間とか、5年間の業績で出したいところだけど調べるのが面倒なので近接3年分でどうでしょうか。
ラボを運営して10年以上経ち、入ってくる人数も発表される論文もある程度一定になっているならほぼ安定した数字が出るだろうし、5年目でちょうど軌道に乗ってきたというところなら数も出始めているだろう。逆にラボが立ち上がったばかりだとそれはそれで学生もいないのでそんなに不利な数字も出ないはず。

さて、計算法です。
2010年のM index = 4/3 x (2010+2009+2008のラストオーサーの論文) / スタッフとポスドク修士と院生の総数
(分母にラボヘッドはカウントしません。スタッフとは、准教授、助教、助手のことです。特任も含みます。)

まぁ、3年というのを明示的に示すために「2010年のM index (3y) = 」と表記してもよいかもしれません。

論文の総和をインパクトファクターの総和とすることで、M index-IF (3y)としても良いですが、計算が面倒なのが欠点。

さらにラボにおける助教と準教授の独立度を計るI(Independent) index = M index / (助教と準教授の総数 + 1)なんてのもあります。教授以外のスタッフが論文作成に積極的に関わっていれば、I indexは高めに出るはずです。逆にスタッフが実質的にポスドクと同じような働きをしていると、低めに出ます。+1はラボヘッドの分で、スタッフがいないラボがあるので加えています。

Reviewを加えているのは、学生に書かせることもあるし、もし、論文にするだけのデータが出ていれば、reviewを書く時間がそれに当てられていただろうという理由からです。

ちなみに私がいたラボはM indexが、
現在のラボが、3.25 (Neuroscience)
以前いたラボが、1.44 (Cancer research)、2.33 (Physiology)といった感じ。

I indexは同じ順序で、3.25, 0.48, 0.78といった感じだ。(見事に実情が数字に現れております。)

是非、はてブか、Twitterで自分のラボや知っているラボのM indexやI indexを計算して報告して欲しい。ここのはてなのコメント欄なら匿名性も上げられるので、ラボヘッドの実名で報告してくれても構わない。3人くらいまとめて報告してくれれば、どこの中の人かは特定出来ないだろう。4/3をかけるのを忘れないようにして下さい。