【コラム】金のかからない少子高齢化対策

介護や子育てにポイント制を導入して、将来の自分の介護に当てられるようにしてはどうかという意見があった。
http://agora-web.jp/archives/1108933.html

私も、老人ホームと保育所を同じ建物にパッケージングして、老人に子供を見て貰い、大きい子供に老人を見て貰えれば、一石二鳥じゃんと考えていた時期があるが、老人側の立場に立つとどうやら無理筋のようであった。

まず、最初の意見について。将来ポイント制による介護を必要とする人は不景気で仕事が無い影響もあるが、基本的に将来ビジョンを立てられなかった人という見方も出来る。
もし、貧乏でどうしようもないというのなら、子供を沢山作ってまともに育てれば必ず親の面倒を見ようという子供が出てくるはずであり、それが一番安上がりな老後対策だ。

でも、老後のことだけを考えて生きる人生なんてどう考えてもつまらない。
一番楽しいのは、肉体的にも体力的にも物理的にも無理が出来る10代20代なんだから。

そういう人達が、果たして自分の老後のためにポイントを貯めようと介護や育児をするだろうか。


今、現在、無料で子供を預かってくれるサービスがあるが、そういった老人のほとんどは家系に十分な余裕がある人でかつ時間が余っている人達です。そういう人達はポイント目当てでしているわけではないし、また、時間が短いからこそやるのであり、長いときつくてやっていられないというのが正直なところだろう。これが、二番目の私の案が無理筋な理由。若い頃に仕事や子育てでかなり無理をしているので、今更、他人の子供の面倒なんてみたくないというのが本音なのだ。介護もそう。

まとめると、社会福祉サービスとしての介護を必要とする人は、若い頃にそれを与える余裕なんて無いし、逆に無償のサービスを申し出るような人はいざとなったら自分の金で老後もなんとかやっていける人達なのだ。

そういう意味でのミスマッチを防ぐということでは先の意見のコメントの3番と5番の意見が比較的良さそう。特に3番はカウントしやすいのでありだろう。5番に関しては数値化と評価でかえってお金がかかりそう。
http://agora-web.jp/archives/1108933.html#comments

さて、将来的には一人で一人の老人を支える時代がやってくるという。
そして、日本は恐らく移民を受け入れないだろう。むしろ、東南アジアなど海外の老人ホームみたいな所に行くヒトが増えるのではないだろうか。また、そういうサービスも増えるだろう。


介護とは何だろうか。身の回りの世話から、買い物や、話し相手、掃除洗濯、褥瘡対策の体位交換、お風呂の世話、食事の用意と食事の手伝いなど色々あるが、一言で言ってしまうと、うんこの世話である。これがあるとないとでその性質はがらりと変わるし、実際あるのが介護だ。

これにいくらポイント制云々といっても、やはりそれなりの覚悟がないと出来る仕事ではない。


生産的な仕事をする人、インフラを支える仕事をする人などを除くと、一人で一人の老人を支えるということは、老老介護、また、経済的に余裕のない人同士による互助の仕組みが必要になってくる。

そのためには都会に住むにしろ、田舎に住むにしろ、ある程度一カ所に集まってくれないと効率が悪い。

となると、やはり、小学校、託児所、老人ホーム、食材日用品を買える店が一カ所にまとまっており、そこがコアとなる街作りが本来なら必要になってくる。

家と老人と子供の世話がシームレスに出来て、かつ多少の時間のずれを吸収出来るバックアップ体制があると非常に便利だ。時間のずれによるカバーはお金で解決するのが一番で貸し借りや善意には期待しない方が良い。

ところが、今の日本にそのようなインフラを作る余裕は全くない。一昔前に作って置いたり、法制度を変えてそういう施設を優遇するようにするのもありだが、とてもペイするとは思えないし、あったとしても基本的に金持ち用の施設だ。

となると、今ある施設や家をそのままにそういった集合施設を疑似したバーチャルなサービスが必要になってくる。介護保険というのは、元気な人からも広く薄くお金を徴収するという意味で便利な仕組みなんだけど、大がかりすぎてその運用方法が弾力的に出来ない欠点がある。

で、最初の意見に戻るんだけど、収入や家族構成、住んでいる地域によって飛び石的にバーチャルな集合を形成して、その中で出せる金額によりサービス内容を設定するような会社が立ち上がっても良いかもしれない。

金のかからない少子高齢化対策とタイトルには書いたけれど、金は絶対かかるんですよ。ただ子供が育てやすいコミュニティーサービスはアリだと思うし、そこはお金がかからないようにできるはず。

例えば、子供の小遣い程度ならどんな老人でも出せるでしょう。それなら買い物くらいは子供にもお願い出来るはず。契約を結んだ小グループの中で、そういう小さい仕事を依頼しあう仕組みはアリだと思うし、そこにポイント制を導入することでサービスに対して支払う金額が少し減額するようにすれば、社員のサービスが少なくてもやっていけるんじゃないかな。

結構、高度なサービス設計をしないといけないけど、一人で一人の老人を支えることを考えると十分ペイする可能性がある。