【コラム】日本人科学者の自前主義から脱却する方法

チョウさんのアドバイスを受けて、少し案を変えてみました。さらに字数を減らしてみた。
一番懸念したのは、ビックラボが果たしてこのシステムを利用してくれるだろうか?という部分であった。
そこで、
「すると、人数が多いラボが多数の名前を著者にした論文を発表することでポイントが稼げてしまうので、同じラボからのポイントは1/5とかに割り引いても良いかもしれません。」
と提案したが、さらに推し進めて共同研究室の数に比例してポイントが決まるようにするのも良いでしょう。そうすると、同門のラボ同士が互いに名前を載せるだけという裏技を使ってきますから、同じラボとの共同研究は3回までしかカウントしないとかのルールが必要になってくるかもしれません。
いたちごっこのようになってしまいますが、それでも、まず最初に自分で用意することを考える日本の科学者の体質を、まず人から貰うことを考える体質に変えるには出来るだけのことをした方が良いでしょう。

まとめ
全体的な予算規模が増えているにもかかわらず、業績が下がっている原因の一つに予算配分が大きなラボに偏りすぎている問題。さらに政治的要因、性別的要因、年齢的要因、地域的要因が入り乱れた不透明な予算配分が挙げられます。
これらを是正するためには、透明性のある業績評価、例えば、論文数x(インパクトファクター+h指数)など(これがベストとは思わないので要議論)を採用して、基礎レベルの予算として全ての研究室に配り、セレンビリティーをちゃんとキャッチアップ出来る体制にすることが重要です。
さらに国際的に高い評価を受ける仕事は、学際的な仕事であることがほとんどです。しかし、日本は何でも自前主義で他のラボや他の人に頼ることをしないため、仕事がこぢんまりとしたものとなってしまい低い評価を受けることが多々あります。
こういったことを防ぐために、高額機器や特殊な機器は大学および地域の中心にコアラボとして配置し、誰でも使えるようにすること。機器の使用に当たっては専門のテクニシャンを常駐させること。また、上記の基礎的な予算配分においても、共同研究が多いほど、貰える予算が増えるようにして挙動研究を促進することが望ましい。
つまり、単独の仕事では全く高く評価されないシステムを運営しているラボでも十分やっていけるように処遇することが望ましい。
そのためのシステムとして、マテリアルと技術を含めたリソースバンクをネット上に構築し、自由に使えるようにする。
業績として評価する場合、著者である必要はなく、謝辞や提供元として名前がクレジットされていれば良いこととする。
一つの論文でそういったクレジットされている人の所属先の種類の数だけポイントとしてクレジットされている人全てに配られるようにする。
一つのラボを評価するときに帰属する人が持っているそのポイントの合計を基準の一つとして予算を配分するといったシステムである。
著者の数を増やしたり、自分で出来ることを共同研究先に任せたりする動きが出ると思うが、それこそが自前主義からの脱却であり、望ましいことである。
それぞれの研究室が海の孤島のように隔絶し、蛸壺化していることが日本の科学の競争力を弱めている原因の大きな理由と考えられるので自前主義だと損をするようなシステム作りが一番必要であると考えられます。