【コラム】世界の常識をひっくり返す

ちきりん氏の日記にあったtakap49さんのコメントが面白かったので(誤解を防ぐために)全文載せておく。

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「世界の裏をかく」ということ



ぷちナショナリストっぽい発言に聞こえるかもですが…。

日本人が世界という大きな舞台で、資源も広い国土もなしで生き延びてこられたのは、その都度、世界の常識をひっくり返してきたからだと思うんです。



・欧米の軍事力は世界最強・唯一無二 →日清・日露戦争

・資源や資源利権なくして工業国家の発展なし →戦後日本の高度成長

・軍隊がなければ一人前の国家ではない →戦後の平和路線

・環境と工業は対立する →環境立国日本



どれも、実現するまでは世界の常識で“ムリ”と見なされていたこと。

ですから今回も、何度目かの世界の常識をひっくり返す方向で行きたい、と。



若者が英語に堪能になって、商魂逞しく世界に羽ばたくのは、もう中国や台湾や韓国やシンガポールの若者がやってるし、目新しいことでも貴重なことでもない。



日本人の存在価値は“常識的な地球”から、いささか未来方向にはみ出して生きている所で、そのことは、アニメやマンガや村上春樹などの、日本文化を代表するアレコレの現実離れっぷりにも現れているんじゃないか、そう思ってまして。



現在、世界全体が疑ってもみない“常識”というと…

・グローバリゼーションの世界で、労働賃金も物価も平準化する

・結果、先進国の経済力は落っこちて、新興国と均衡する

という世界システム論。

その背景にあるのは「経済成長・国民所得・生活水準」という《20世紀的な経済のコトバ》がこの世の全てだ、という思想。(無思想?)



これから日本人がやるべきなのは、日本以外の全人類が恐れている《経済衰退》を、思っても見なかったような「豊かな形」で実行し、人類残り全員の度肝を抜くことなんじゃないか。

そういう風にして「世界の難問の解決法」を発明してくるのが、日本人の役割であり存在価値で、《新ネタ》を提供出来ない日本人なんて、世界にとっては値打ちないんじゃないか。



資源小国の高度成長も環境立国も、日本が実現するまでは、ほぼ影も形も無く、実現しちゃった後、事後的に世界に認められたわけですから、これもありえない話ではない、と。



ちきりんさんの本エントリにある「ハングリーさと才能をもった若モンが世界に羽ばたく」のって、やる方の日本人からすると素晴らしいことのように思えるけど、行った先の国では深刻な摩擦や軋轢も生む。

クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』や、サム・ライミの『スペル』などの映画を観ると、「アメリカ人から知的な職場を奪う優秀なアジア人」が、行った先で深刻に妬まれ、憎まれている現実の一端が垣間見えます。



日本の若者は大挙して世界を目指すより、「経済衰退しながらの幸福と豊穣」というアポリアを解くことに、才能とハングリーさをふりしぼってはどうでしょう?

この先日本人まで世界へ進出したら、ただでさえ狭い世界がもっと狭くなる。



でもいま流行っている「昭和ブーム」だの「癒し」だのは、ニセモノだと思うので大反対です。

もっととんでもない所から発想しないとダメです。



就職氷河期が慶雅の至り」という主張そのものは賛成だけど、日本人の若者が「世界によくいるアジア出身の優秀な人材」になる、というアウトプットは、ちょっとありきたりで面白くない。

もちろんこれはこれで“おおいにアリ”なんだけど、それに携わるのは一世代の俊英・精鋭の二、三割くらいにしといて、残りは国内で思い切り煮詰まった方がいいかも…。



でないと“よくあるアジアの普通の新興国”になっちゃうし〜。

別な意味で《混乱Lover的》に面白くない、と思うんですよね。ありきたりで



(自分のブログでもないのに長文すみません。必要なら要約・カットもありで掲載可です)

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私が面白いなと思ったのは世界の常識をひっくり返してきたというものの見方の部分。

日本人はある種合理的でない判断をする基質があるからこそ日本独自のサービスや質の高さを維持できた部分がある。
それを欧米同じスタンダードにしていたのでは、もともと無駄なことをたくさんする日本は大負けして当然である。むしろ、もっと無駄なことを一杯して新しい価値や価値観を生んでいくことがこれから生き残る上でも重要なのではないか。
例えば、先のちきりん氏の日記にもあった質の高さ(特に家電)、また、過剰なサービス精神、給与や与えられた仕事以上のことをする熱心さ、常に新品や新製品を好む基質、異様に低い犯罪率、総中流化を望む国民性、当然その中には世界から見たら無駄と思えるものがあるのだろうが、そういった特徴が複合的に重なって今の日本を作っている。

しかも、欧米人はそういった日本の良さをほとんど実感していないのが面白い。時差の関係と言葉の関係もあって、ほとんどの欧米人が休暇であっても日本にいくという選択肢を選ばないからである。
日本に駐留していた軍人や頻繁に来日するアーティストはそれらの良さをわかっているので、機会があればやってくる。
メタリカのメンバーは全員日本に家を持っているという話も聞くし、日本人と結婚しているアーティストは結構いる。日本語さえ話せれば、マーティー・フリードマンのように日本に住み続ける人もいる。

その意味で、比較的過ごしやすい春休みと秋休みを狙って、至れり尽くせりのツアーを企画するのも良いだろう。

(つづく)