【コラム】何故アメリカで自殺率が低いのか?何故アメリカばかりから

アメリカンドリーム、アメリカに行きさえすれば誰でも一攫千金、大金持ちになれるチャンスがある。そんな風に捕らえていた時期もありました。

しかし、実際は全く逆で這い上がることはほぼ不可能。日本のようにみんなが安寧としている方が単に金持ちになりたいだけならよっぽどなりやすいです。

金持ちは自分達の子供達が同じような境遇で居続けられるように社会制度にメスを入れ続け、高学歴を獲得するには膨大なお金が必要であるようにしました。また、健康で居続けるための医療機関の受診もよい医師はそれだけ高額なお金を払わないと受けられなくなっています。日本みたいに5本の指に入る名医を普通に受診できたりしないわけです。

つまり、アメリカの高学歴は要するにお金持ちの集まりなのです。そこでの要件は金を持っていることです。

一方、日本はどこかで東大生の5%はかなりの貧乏人とありましたが、高学歴は事務処理能力の高さに寄ります。

アメリカのヒエラルキーはどれだけお金を持っているか。

日本のヒエラルキーはどれだけ事務処理能力があるか。

さらにイノベーションを産み出すのは必ずしも事務処理能力ではありません。過去の例から言うと、むしろ中学歴くらいの人の方が新しいことを生み出す力があります。何故ならほとんどのイノベーションは常識的に、事務的に、過去の例にならって考えると無駄な努力と考えられるようなことから生まれるからです。事務処理能力の高い人はそんなことに挑戦しません。

つまり、日本の高学歴からはイノベーションは産まれにくい構造になっています。よって、実を言うと東大理科III類に進むような秀才を医学以外の分野に割り振ったところでほとんど役に立たないのです。

一方、アメリカ型だと高学歴の要件は金を持っていることです。学生の能力は普通に正規分布しており、そういうイノベーションを生むような人が高度な学術環境と投資を受けられる環境にいるわけです。さらに各種の成功している産業の子息達と知り合いになっていますからビジネス展開も非常にしやすい。これがアメリカの方がイノベーションが産まれやすい構造の理由です。

さて、自殺に関してですが、中学歴に注目してみると、日本だと何でもそつなくこなしルールもしっかり守る人達がこのレンジにいます。優秀な人間、無茶な挑戦をする人間、駄目な人間もいません。とにかく普通の人達ばかりなのです。その均一性が失敗したときの絶望感を増加させるわけです。
一方のアメリカ。中学歴においてもその人となりは千差万別。金がないから高学歴組に入れなかった異様に優秀な人、ばくちばかりして駄目な人、暴力をふるう人、性的に自由奔放な人、もうめちゃくちゃです。例えば、私のラボには医学生が数人いますが、そのうち二人は入れ墨をしています。そんな環境で育っていれば、多少失敗してもあいつに比べればまだまだましと思えるわけです。逆にあれくらいできるやつが自分のセグメントにいる。自分も頑張れば何とかなるかもとも思わせてくれます。日本の中学歴ではそれはまず無理でしょう。そんなことは不可能だと思い込まされているのです。

そうすると、この解決策はやっぱり昨日のような話になるわけです。