【コラム】労働流動性と職の確保を両立させる方法

産業構造の改革を進めるには雇用流動性が必須であろう。
一番簡単なのは退職金制度の廃止もしくは上限を決めた縮減と厚生年金や企業年金の廃止もしくは上限を決めた縮減。
同一労働同一賃金は、何を同一労働とするかの定義で揉めて実質不可能なので上記のような制度改革により正社員であるメリットを無くせばよいのです。すると、自然と流動化が進み、賃金の格差がなくなっていく。


それに加えて有効だと思えるのは、決められた範囲の職場で働くことを条件に年金健康保険込みの生活保護と同様のお金を与えるシステムをつくること。これを進めると公務員改革も進む可能性があります。

二つの運用条件を例として挙げておきます。

一つは公の仕事、つまり市役所や学校、さらには研究所でも構わない。税金から給料を貰っている人が働いているところで人手が足りないところ、および生産性が高いところの人員募集枠を設定して、そこで働けば上記の収入が入るシステムにします。

収入としては最低限ですが、生きていくことはできる収入です(もし、今の生活保護の支給額が足りないなら少し上げます)。

すると、最低の給与で仕事をする人が職場に入りますから、賃金格差は広がります。しかし、公の仕事の場合、応募してくるのはお金でなく、とにかく働きたいという、子育てが一段落した主婦とか、我々のように研究がしたいという情熱を持った人でしょうから仕事の効率は決して低くはなりません。結果的に公務員がしている仕事がかなり低賃金の人々によって支えられることになり、新規に公務員を増やす必要性がなくなり、最終的には小さい行政府にすることができます。
研究に関しては業績を出せば、それなりのポジションにステップアップする仕組みにします。逆に業績がなければ、このポジションに落ちる仕組みにします。

もう一つは企業です。企業の場合、納めた法人税の金額によって取れる枠を割り振ります。
給与は国から支給されるので、企業としては断る必要はありません。要するにただ働きしてくれるわけですから願ったり叶ったりです。ところが、決められたところならどこでも働けるので能力のある人が他に行ってしまうリスクがあります。その場合、給与を企業がサポートすることで留まって貰うようにします。

基本的に「働かざる者食うべからず」を徹底するということです。よって、身体的に何らかの障害があって働けないという人以外は働かないと生活保護が貰えないとするわけです。

それと合わせて誰にでも出来る仕事を準備します。アメリカにおける芝刈りやドアマンや配達といった仕事です。ベーシックインカムの変形バージョンみたいなものですが、働かないとそれすら貰えないということと生産性の高い仕事ぶりをすれば給与や身分が上がる仕組みになっています。