【コラム】突飛なデザインのビルって意外とアメリカにはない

ここ20年くらいの日本って、凄く変わった形のビルが結構建っていた。今でもそうだけど。
びっくりするくらいエントランスをでっかくとってデザイン性重視のビルがこれでもかと建ち続けている。特に外部から不特定多数の人を集めないといけないビルはかなり頑張っている。その空間に部屋を作った方が家賃収入も上がって良いはずなのにという部分をばっさりえぐるように安らぎの場のような感じで演出しているわけ。

で、私はてっきり海外の影響、追いつけ追い越せで日本に導入しているのかと思っていたのですが、実はアメリカにはそんなビルは少ない。
特にファッションの中心地であるマンハッタンは土地がないこともあるが、空間をかなり無駄に使ったデザインのビルはほとんどない。築100年でも保つので建て替えがないことも影響しているだろう。

そう考えると、日本って意外と凄いなと。
資本家や企業はそうでもしないと自分たちのブランド力が上がらないと判断し、それに日本の建築家がつけ込んだわけだ。しかし、同時に他の国ではあり得ないようなビルを造ることで意外と建築技術も向上しているはず。もちろん、地震の影響を受けないようにという部分も強く働いている。

ちょうどそういう建築ブームがバブルと重なっていたのも影響しているだろう。今だとそんな無茶は中々しにくい。それでも、そういう建築をするという流れを作ることができたわけで経済的にも効果的だったのではないか。

日本は無駄な部分が多くて、クリエイティビティーを発揮しにくい国だけど、漫画と建築は成功した分野だと思う。

こういった成功を研究の世界にも導入するにはどうしたらよいのかを考え中。
お金がなくても好きでみんなが取り組んだのが漫画。
お金に任せて我がを取り繕うとした欲を取り込んだのが建築。

結局、研究者すごろくであがった人のモチベーションがないのが問題なのだろう。
すごろくをあがるまでは好きで好きでがむしゃらに頑張る。ところが、あがってしまうともうそこに目指すべきものがない。一般の人ではまず理解できないマニアックな世界だから建築のように一般にアピールする方向性も出しにくい。出しても生き死にが関わってくるからもっとシビアな話になる。

一つはあがりがない状態にするというのがある。クビにはならないけど、給料が激減するとかね。もちろん、合わせて副業を許可する。

公務員改革も似たようなアプローチが取れるかもしれない。完全に独立するのはリスクが高いから半官半民のような立場を許可するわけ。