【コラム】官僚の権力を維持したまま霞ヶ関を劇的に改革する方法

池田氏が述べている霞ヶ関改革の難しさですが、問題点をわかりやすくまとめてみます。

1)まず、官僚は権力を求めているということ。
2)そして、年を取るとその権力に相応の報酬を求めるようになるということ(天下りや渡り)。
3)また、管理職の年齢のヒトがあぶれるのでそれらのヒトにプライドを維持できる程度の働き口を用意しないといけないということ。

2)に関してですが、恐らく若い頃に死ぬほど頑張れるのはお金はあとで手に入るからという安心感と担保があるからというのもあるのでしょう。ところが、天下り渡り叩きでその安心感がなくなりつつあり、優秀な人材が入らなくなってきているとのこと。
池田ブログのコメント欄では官僚叩きのコメントであふれかえっています。
相当東大にコンプレックスがあるのでしょうね。でも、ある程度まとまった従順で優秀な人材はやっぱり東大にしかないんですよ。皆さんは県庁や市役所で受付しているようなおじさんおばさんのようなヒトに国政を任せたいのでしょうか?キャリア官僚が国民のことを下僕扱いしていようがそんなことはどうでもよいのです。その優秀さを効率の良い国家運営に使ってくれさえすればね。

さて、霞ヶ関改革の話です。
官僚を政治家がコントロールすることは不可能に近いと池田氏は言います。それなら、その優秀な官僚自身に制御させれば良いのです。

それには主な省庁の内部に他の省庁の予算申請と法律案に関して評価する独立組織を立ち上げます。
予算申請と法律案に関して、点数化した優先順位とその理由(増額すべき理由、減額すべき理由、廃案にすべき理由、代替案)をわかりやすくまとめさせて一般公開します(無記名、つまり、その省庁の意見という扱いにします)。自分の省庁の案に関してはノーコメント扱いです。
一般公開の中で説明する際に使われる資料はそれを作成する独自組織を作り、そこが一括して統計収集に当たり要求してきた各省庁にその情報を提示します。この情報の一般公開は任意で構わないと思います。

各省庁に作る独立組織のメンバーですが、ここに肝があります。
まず、三つ以上の省庁を渡り歩いたヒトを優先させること。その多様な経験がより適切な判断をさせるでしょう。
次に年配のヒトを優先して登用します。要するに外郭団体に天下りさせるのでなく、省庁の内部に残って仕事をして貰うということです。
また、生え抜きの省庁トップのヒトよりも給料は高めに設定します。Directな権限がないのでそれを補うために経済的なメリットを付加します。
各省庁の評価点数を合算して総合優先順位を決定し、最終結果に最も近い優先順位を付けた省庁に一プロジェクト並の大きなキックバックの予算を付けます。
つまり、彼らにはその省庁の中での法案や予算作成の権力はありませんが、その仕事ぶりによって予算を大幅に増額させる力を与えます。これは結果的に我がの省庁の仕事ぶりに対してプレシャーとして働くことになります。
恐らく予算案を出す前にこの独立組織に駄目出しを求めてお伺いを立てるようになってくるはずです。

それに合わせて、各省庁トップの人事に登用されるには3年以上他の省庁で働いたことのある経験を必須要件とします。これは出向という形でも構いません。これは一昨日書いた横方向のヒトの流動性と多様な判断基準を養うためということがあります。そして、自分の所属する省庁のトップを狙うのか、その独立組織を狙うのか天秤にかけられるようにするのが狙いです。

こうすることで、どんなメリットがあるのか?
人件費は増えます。但し、新聞を読んでいるだけのノンワーキングリッチでなく、ちゃんと仕事をする必要があるので無駄ではありません。

基本的には他の省庁の案を蹴落として、我がの予算を通すのが目的になります(官僚vs官僚)が、最終結果は各省庁の合算となるため特定の省庁に有利な判断や説明をするとかえってキックバックの予算が貰えなくなる可能性が高くなり、結果的にまともな論理構成になってくれる効果が期待できます。例えば、ネットでの薬販売禁止などのアホな法律案はばっさりと切り落とされるでしょう。

また、これとは別に各省庁の独立組織の案に対して、コメントする別の団体を作っても構いません。この団体も年配の元官僚を率先して雇います。但し、そのコメントは記名制にします。そのコメントに対する国民のコメントも付けられるようにしておきます。一部組織票みたいなものが入ることもあるでしょうが、コメントが適切であれば自ずとその存在感は増していき、国政に国会議員として参加する一つの道になり得ると考えても良いでしょう。

一見無駄な仕事を増やしているようでいて、無駄を省く構造になっていると思うのですがいかがでしょうか。