【コラム】失敗した起業家の自殺を防ぐ方法

起業家や連帯保証人の自殺のことが日本の自殺率を上げるひとつの理由になっているが、連帯保証人に代わる方法を思いついたので書いとくデス。

まず、銀行としてはできるだけリスクを減らしてリターンが多いと期待できる企業に貸し付けしたい。

経営者側としては本音を言えば、その企業が上手くいくかどうかはわからないが上手くいくと信じている。そして、それは市場と経済状況が決めるため誰にも完全な予測はできない。

で、具体的には例えば1億円借りたいと言っている経営者を集めます。
その中で5人グループを作らせます。その5人の経営者は銀行を含めた6人の共同経営者のような形で銀行から5億円を借りる形にします。

つまり、A社,B社,C社,D社,E社それぞれが1億円借りるのですが、もし、D社が経営危機、もしくは廃業となると、その借金は他の4社で負う形になります。

それって、一社つぶれたら共倒れしない?という懸念はありますが、それ以上のメリットもあります。

例えば、D社は一切お金を払わずに4人の現役経営者を役員として迎え入れられるのと同じ状態になります。なにせD社につぶれてもらうと困るので他の4社はできるだけつぶれないようにアドバイスしたり、場合によっては多少割りが悪くてもD社と取引することでD社がつぶれるのを必死で防ごうとしてくれます。
過去に同じような失敗した経験があれば、それをsuggestしてくれるでしょうし、互いに取引できる業種で組めば、より一層の連帯経営も出来るでしょう。

そのためにも、大きな経営判断をする場合は他の4社および銀行に相談をするという取り決めをしておくと良いアドバイス、もしくは提携案を貰えるでしょう。どの程度まで互いに踏み込むかはその5社と銀行の間でそれぞれ決めれば良いことです。

但し、これだけだと銀行にメリットがないので、もし、5社合わせて計画よりもプラスの収益があった場合銀行にそれだけマージンをバックするという取り決めをしておきます。


他のメリットして銀行の査定と経営者側の読み両方に非対称性が産まれることがあります。

つまり、通常はもしかしたら上手くいかないかもという案件を経営者側は隠そうとし、銀行側はそれを織り込んで厳しめに査定します。
ところが、それだと大化けして上手くいく可能性も切り捨てることになり、銀行側としては利益を上げにくい状況が今の状態です。また、郵貯、新東京銀行など査定能力の低い金融機関にとって一般市場への貸し付け=焦げ付きというアホな状態となっています。いっそのこと銀行や証券会社に貸し付けたらとすら思えるほどの惨状です。

この方式をとると、上に挙げたリスクがかなり緩和されます。
まず、上手くいかない可能性は経験豊かな経営者の方が見抜く力があるので失敗しそうな人とは組みたがらないというインセンティブが働くので銀行側が見抜けなかったリスクを回避しやすくなります。
また、逆に実は大化けする可能性についても消費者の立場に近い経営者側の方が見抜けるでしょう。例えば、Fという事業案件は実はGという市場に売り込めばバカ売れするけど、Aの事業主は気付いていないということをCの経営者が気付いたとします。
すると、Cの経営者は自社のリスクを低減するためにそのことを隠してA社と組もうとするでしょう。
また、同様の会社を過去に経営していた社長さんがいれば、良いアドバイス、またはコネクションを期待して組もうとするでしょう。

この5社は一蓮托生ですから、そのコネクションは単に長年の取引での信頼ということ以上のつながりになります。日本の特徴として、縦のつながりが強くその力関係のバッファーで下が損を飲み込むことで危機を乗り越えてきましたが、それには限界があるし、決してWin-Winとは言えません。ところがこの方法だと横のつながりがどんどん広がっていくのです。ここシリコンバレー的になります。


この方法の欠点としてもし5人が最初から銀行を騙すつもりで組む可能性があります。要するにハイリスク案件同士で組まれてしまうパターンです。

このリスクを軽減するため、ひとつはより低額の融資の実績を積まないと高額の融資を受けられないという設定にするのが一つ。

もう一つは例えば1億円なら3千万3百万ずつの5人グループに小分けするという方法もあります。
つまり、
ABCDE
AHIJK
ALMNO
といった感じでA社は実質12社と組むような形にすることです。
この小分けを利用すると、大きな会社と小さな会社を一つのグループに括れるというメリットも出てきます。上の例だと、H社は別に1億円借りているわけではなくてトータル3千万3百万しか借りていない事業主ということもできるわけです。

この仕組みを導入することで黒字なのに倒産といったことも防ぎやすくなるでしょうし、似たような業種、規模の会社が集まることで大きな会社に対抗する基盤にもなり得ます。

実はこの方法、銀行はすぐにでも取り入れることができます。ただやはり現行の方法よりリスクは大きいですから、連帯保証人制度の廃止とセットで飲ませれば意外と日本経済がより発展するかもしれません。