家政婦のミタと宇多田ヒカルから学ぶメガヒットの秘訣

家政婦のミタがメガヒットした理由

昨年は家政婦のミタの最終回の視聴率が関東で40%になったことが話題になりました。
我が家も「利家とまつ」や「100年の物語」などのDVD BOXを買うほどの松嶋菜々子ファンであるため序盤からフォローしておりました。
常に主演ドラマが20%近い視聴率を取っているので、そういう視聴者も多かったとは思いますが、それだけで40%まで伸びることはないでしょう。


やはり、市川悦子の「家政婦が見た!」とどう違うのかと思ってチャンネルを合わせた人もいたはずです。
それが、口コミをどんどん呼び込み、視聴率伸び率トップのドラマになりました。

初回と最終回の視聴率の差が大きいドラマランキング
差  初回→最終
20.5 19.5→40.0|家政婦のミタ
16.7 *7.2→23.9|星の金貨
12.3 11.6→23.9|マルモのおきて ★
11.6 20.7→32.3|東京ラブストーリー
11.5 *7.9→19.4|イグアナの娘
10.9 14.4→25.3|女王の教室
9.5 31.8→41.3|Beautiful Life
9.5 23.1→32.6|愛という名のもとに
9.5 21.3→30.8|眠れる森
9.3 24.9→34.2|やまとなでしこ

後半は視聴率が上がってきていると言うこと自体がニュースになっていましたからそれが主なドライブ源となっていたでしょうが、序盤はやはり、どれだけ興味本位で見る人を呼び込めるかが肝だったはずです。


つまり、視聴率が上がった理由として、タイトルをもっとセンセーショナルなものにも出来ただろうし、ドラマのテーマ的なものを示唆するものにも出来たし、もっと謎めいたものにも出来たのに、あえて偽物感の漂う既存のドラマのタイトルを採用したことと、家政婦は見た!とは全く異なる内容にしたことが挙げられます。そのため、誰も二つのドラマを比較したりはしませんでした。

宇多田ヒカルがメガヒットした理由

一方、宇多田ヒカルの場合、バイリンガルのR&B歌手というだけではここまで売れなかったでしょう。他のもっと美人だったり、もっと歌が上手い同様の歌手をみれば明らかです。宇多田ヒカルが掴みとして藤圭子の娘だからという部分が世代を越えた注目を集めたことは間違いないでしょう。それでいて、歌のジャンルは全く異なりました。
声は似ているという人はいても、二人の歌を比較する人はあまりいません。

■幅広い世代へのアピールと意外性のある内容が重要

以上二つの事例からメガヒットする秘訣がわかります。これは当然マーケティングにもそのまま応用できます。


何か商品なり、情報商材を売る時には自己満足的な聞いたこともないような名前でなく、既存の有名なものを連想させる名前にするべきということです。そうしないと、その新しい名前を売り込むためだけに多額の宣伝費を投入する必要が出てきます。宇多田ヒカルは名前にそれが入っているわけではないですが、デビュー当時からしばらくの間、情報番組で取り上げられる時は必ず藤圭子の名前が挙げられていました。


もう一つは、既存の名前から連想されるものとは少し異なるサービス内容にするべきということです。但し、全くジャンルが異なってはいけません。ミタは家政婦だったし、宇多田ヒカルは歌手でした。


例えば、New YorkのJAZZ clubにJAZZ Standardという新しいクラブがあります。その姉妹店の名前はBlue Smokeでした。老舗のJAZZ Clubには、Irridium, village Vangard, Blue Note, Birdland, Smokeなどがあるため、全く新しい名前でなく、 有名店から連想できる名前や簡単な単語を組み合わせただけの名前にしています。さらにJAZZ Standardでは毎週月曜日JAZZ musician協会の凄腕だけで組んだMINGUS ORCHESTRAというバンドの演奏を提供しています。そうすることで、客入りを計算できるようにすると同時にブランド強化をはかっているわけです。また、Smokeに次ぐ料理の質でありながら、値段的にはJAZZ clubでは最安値レベル、それでいて隣の席との空間的な余裕も一番あるように配置され、比較的ゴージャスな店内の内装も合間って、居心地の良い空間を作っています。店自体のブランド力を上げることで有名なミュージシャンに頼らない安定した経営が出来るわけです。

家政婦のミタに似たドラマ!?

ところで、家政婦のミタ同様、善人が全く出てこずにとんでも展開するドラマをご存知でしょうか?


その一つに渡部篤郎広末涼子主演の「愛なんていらねえよ、夏」があります。


簡単なあらすじをwikiから引用しておくと、

歌舞伎町でホストをやっていたレイジは、客の女性が犯した横領に関わっているとして警察に逮捕される。数ヵ月後出所したレイジに待っていたものは、七億三千万という多額の借金と仲間の裏切り。借金を返すことが出来なければ、レイジは死ぬことになる。途方にくれるレイジの前に真壁恭一と名乗る弁護士が現れる。鎌倉に豪邸を構える令嬢・鷹園亜子の、生き別れた兄を探してやって来たのであった。レイジは彼女の財産で借金を返済しようと企み、亜子の兄として鷹園家に乗り込む。女性をだますことを仕事にしてきたようなレイジにとって、小娘一人を丸め込むなどたやすいことに思えたが、そこにいたのは心をかたくなに閉ざした盲目の少女だった。


レンタルも出来るはずなので、もし、観るならネタバレのあるレビューなど読まずに見ることをおすすめします。
ミタ同様、ずっと高いテンションを保ったままストーリーが進むので、第一話で面白いと感じなければ、見続ける必要はありません。


このドラマは視聴率7.8%しかいかなかったわけですが、タイトルをミタ同様に半分パクリにしておけば、もっと伸びたのかもしれません。内容は全くのオリジナルですから。