KY秘書〜Google+の本当のライバルはFACEBOOKではない
私はFACEBOOKも、mixiも、twitterもライトユーザーで、一番好んで使っているのはGoogle waveです。
あいにくGoogle+にはまだ加入出来ていませんが、ライトユーザーから見たソーシャルネットワークサービスをまとめてみます。
大事なのはライトユーザーには、カスタマイズやトリッキーな使い方で得られる利便性でなく、あくまで本質的な役割でしかその意義を訴えることは出来ないということです。
まず、簡単に図にまとめてみました。
図の見方ですが、左半円が物理的もしくは精神的に距離が遠い人達、右半円は近い人達です。内側から、家族、親友、友達、知人や仕事関係の人、同じ趣味の人、自分のファン、もしくは自分がファンになっている人およびアンチな人です。
Direct mail (E-mail, text)
古くからある方法で手紙もこれと同じです。
特定の個人にのみ発信するものですが、インターネットの発達で時空間的に距離のある人、および特定多数、不特定多数との連絡方法の需要が増えてきました。
特にDMは返事を書かないといけないというプレッシャーがあるため、どうでもよい下らないことには使いにくいのです。
FACEBOOK
FACEBOOKとは知人以内のモンスターカードを全部集める事自体が目的のゲームみたいなものといって良いでしょう。
カードを集めるヒントは、そのカードが本名と関連づけされているということです。
何か、FACEBOOKをコミュニケーションツールとして使っているアーリーアダプターな人が多いみたいですけど、それ、間違った使い方ですから。少なくとも、何も知らない人にFACEBOOKをそういったツールとして紹介している限りは、FACEBOOKは日本では普及しません。
転勤や就職や進学で別れてしまう友達との連絡先をキープしておくというのが、FACEBOOKの本来の役割です。
FACEBOOKは頻繁に書き込みする人、ゲームで遊ぶ人と色々いるけれど、実際は入っているだけでほとんど何もしていない人が半数以上います。彼らがしているのは最初に挙げたゲームだけなのです。
そして、そこでのコミュニケーションの相手はどちらかというと、近い人よりも遠い人を対象としていることが多いです。昔の同僚などに結婚、出産、転職、引っ越しなどを知らせるわけです。
Mixi
Mixiはメールアドレスからのアカウント検索機能事件でわかったように、本名はまず登録されていません。
Mixiの強みは特定のHNによるコミュニティー内での発言の密度の高さと質の高さにあります。
もちろん、中には2chや個人ブログに負けている部分も多々あるけど、ほぼ全ての趣味で何らかの良質な情報が集まっているのはmixiだけでしょう。
よって、同じ趣味同士の情報交換がメインのコミュニティーといえます。
これを見れば、FACEBOOKとmixiは棲み分けが出来ているから、どちらかが潰れるということはあり得ないのがわかります。
最近のmixiはリアルを取り込もうとして、友人の書き込みをメインに据え、コミュニティーの書き込みを右端に持ってきていますが、自分たちの強みをよくわかっていないように見えます。
Mixiに必要のは、コミュニティーにおける発言にいいね!ボタンを設置して、良質の書き込みを拾い上げる仕組みを作ることです。さらに、そうすることで、何らかのmixiポイントが集められる仕組みにしておけば、外部の良質な情報もmixiに集められるようになり、客のMixi滞在時間を伸ばすことが出来ます。
twitter
Twitterは一言でいうと、アンテナです。感度を上げるためには、有益な情報を発信する人を見つける必要があります。そういう人を見つけるゲームと考えても良いでしょう。
友人や知人の「〜してます」報告をやり取りするコミュニケーションツールと勘違いしている人もいるけれど、あれはおまけです。
Google Buzz, Google Wave
どちらのサービスも基本的にgmailを相手が持っていないとつながれません。
gmailでつながっている人って、家族、友達、仕事で同じプロジェクトだった人だけなんです。あとはせいぜい友達に近い同じ趣味の人です。
この辺がGoogleのソーシャルの限界。この中でこれは便利というサービスを提供しないといけません。その意味でGoogle+ではFACEBOOKの役割も、mixiの役割も絶対に果たせないのがわかると思います。
Buzzはシステムとしてはtwitterを丸ごとマネしたんだけど、そんな狭いソーシャルの中で何かを書き込むインセンティブがほとんどありませんでした。しかも、リーチ出来る相手を制限しないと、家族と仕事相手全部に読まれるわけだから、相手を選べないtwitterみたいなもので、むしろ、書き込みしたくないくらいのアプリでした。そんなわけで私は読める相手を制限した上でメモ用紙として使っています。
Waveは元からクローズドなコミュニティーでの密度のあるやり取りを狙っていたからそれはそれで良かったのですが、モバイルでは重すぎたりとか、仲間を呼び込む手続きが面倒くさかったり、他には色々と先取りしすぎていました。モバイルマシンのスペックが上がったとき、いつかもっと大きなソーシャルの中で復活するのを期待しています。
実際に扱っていないので、誤解している部分もあるかもしれませんが、狙いとしては読まれる相手をグループ分けし、waveのような密度の高いコミュニケーションをして貰うところにあるように見えます。
FACEBOOKが距離が遠くなってしまった人同士をつなげるツールとすると、近い人同士のコミュニケーションツールということになります。
コミュニケーションする相手をグループ分けするというのは、今までのサービスでもこれに近いことは出来ました。しかし、そのためにはかなり面倒くさいカスタマイズが必要でした。
それをデフォルトの機能で、最初にしないといけないことにしたことが特徴です。
登録手続きが簡単になったwaveみたいなものです。
こうすることで、英語で書き込まないといけないFACEBOOKと違い、サークルの相手によって、内容や言語を書き分けすることが出来そうです。
【コラム】FACEBOOKが日本で流行らない理由 - AMOKNの日記
あとはそのスモールコミュニティーに書き込むインセンティブを上げる努力をするだけです。
ところが、我々は閉じられたスモールコミュニティーがどういう運命を辿るかすでに経験しています。
ML(メーリングリスト)です。
新規参入者のいないMLは必ず廃れていきます。コミュニティーが成熟してくると、人間の関係と同じで「言わんでも分かる」の状態になるからです。
よって、考えられるアプローチは
- そのため、閉じたサークル以外に、誰でも参加出来るオープンなサークル機能も導入した方が良いでしょう(mixiに丸かぶりです)。
- 情報は一方通行でもよいので、新しいコミュニケーションパートナーを次々に見つける、見つかる、提示される仕組みも必要です。
- Playbackは必要ないから、他のサービスと差別化するためwaveのリアルタイム書き込みを導入するのも一つのオプションだと思います。インターネットを初めて以来、もっとも衝撃的な体験があれでしたからインパクトは十分です。サーバー負荷が強いなら、オンオフ機能をつければよいです。
- 許可制にする必要はあると思うけど、gmailの中から、例えば、amazonで買ったCDのアーティスト情報やライブ情報を自動的にピックアップして流してくれるとか、メールでやり取りした人ややり取りで出てきた人や会社がニュースになるようなアクションを取ったとき、自動的にそのニュースを拾って流してくれるとかもありでしょう。例えば、何かの大会で何位になった、論文が発表された、会社でその人の部門から新製品が発表されたなど。もちろん、受け手も、情報を流される方もそれの許可、許可する範囲を設定出来るようにした方が良いですが、Googleなら出来るんじゃないでしょうか?
また、最近こんな話も聞きます。
Googleプロフィールで名前を偽ろうとするとロックがかかってGoogle+に投稿できなくなる - ただのにっき(2011-06-30)
本名じゃないとアカウント停止という処置です。
だからGoogleにとっては、リアルソーシャルグラフなんて意味がないんですよ。Gmailアカウントは複数取れる訳なんだから。
TwitterやFACEBOOKをコミュニケーションツールと思っている人は多くて、その立場の奪い合いと見なしているから、Google+は負けると判断してしまうわけですが、それぞれの本質的な役割は別のところにあります。
Twitterは触れたい情報へのGatewayであり、出来るだけ早く、しかも、多くの情報に触れるため、そういう情報を送る人を探そうというインセンティブがあります。
客が、twitterを情報探索ツールと見なし、知りたい情報を発信している人をフォローしたいと思った時点でTwitterの目的は99%達成されています。フォロワーが何人いようが、どれだけ相互交流していようが関係ありません。そんなものはおまけの1%に過ぎません。
FACEBOOKの役割は、名刺入れみたいなものです。今まで知り合った人の連絡先の情報全部をとにかく一カ所にまとめておきたい。それにFACEBOOKを使おうと思わせた時点でその目的は99%達成されています。
ここで大事なのは、ツールを使う上で一番最初にすることが、一番の目的に直結していることです。TwitterもFACEBOOKも最初にやるべき事をやりさえすれば、後は何もしなくても目的が達成されているというのがミソです。
Google+が最初にするべき事は何でしょうか。
それは知り合いをサークルに分けることです。
よって、それをした時点で、目的が達成されるようにしないといけません。
何かわからないけど、サークルを作っているうちに、欲しい情報が勝手に集まってくるくらいにしないといけません。まさに空気を読む秘書みたいなものです。
Googleなら出来るでしょうし、Googleにしか出来ないことです。
Gmailで取り込んだ情報から、有益な情報がどんどん流れてくるシステムにして、アマゾンの連絡先も、仕事の相手も全部gmailで連絡とりたいと思わせることこそが一番大事なのです。そのアカウントが本人かどうか、本名かどうかなんてどうでも良いんです。
(もし、そうなったら、アホなスパムばっかり流す楽天は相当不利な立場になりますよ。Gmail/Google+にあんなのが流されてきたら最悪です。)
そういう意味では、Google+の本当のライバルはtwitterです。
さらに+1ボタンを活用したいと思わせる策をとる必要があります。
流れてくる情報に+1ボタンと-0.1ボタンをつけて、自分が欲しいと思える情報をGoogleが理解出来るようにしておくわけです。マイナスを0.1と少なめにしたのは、押しやすくするためです。
例えば、複数のアーティストのライブ情報の-0.1ボタンを5回くらい連続で押しているともうそういった情報は流れてこなくなるといった感じです。
Googleさん、このことに早く気付かないとまた失敗しますよ。
というか、フォローしたいアーティストが、数十もあると、HPをチェックしたり、ライブ情報をチェックしたり、CD/DVDリリースをチェックしたりするのが面倒なんですよ。全自動で知らせてくれって感じ。Twitterでも出来るけどフォローする手続きすら面倒くさいんですよ。それに必要ない情報まで流れてきますからね。
要約するとですね、誰か私をGoogle+に招待してということです。