【コラム】公務員の賃金をいくら引き下げても構わない理由 その2

昨日の話で、もうひとつ納得出来たことがあります。
公務員の賃金をいくら引き下げても構わない理由 - Joe's Labo


大学で働いている医者って、もちろん、医局のしがらみとか、豊富で多彩な患者を診られるというのもあるけど、診療科や立場によっては半年で2日しか家で寝られないとかの過酷な環境で仕事しています。で、ほとんどの人が思考停止状態でその環境を受け入れています。


一方、開業医はそんな感じでは働きません。悠々自適というイメージが多い。




大学の医師はアメリカやイギリスなら2倍から3倍の給与は貰えるような高度かつ高負担な仕事をしているわけですが、一般の人よりは給与が高いからそのことについてそれほど不満もない状態となっているわけです。



でも、給与が本来貰うべき金額より低い分、自分は金のために働いている訳じゃないということをかなりはっきり自覚出来ています。患者さんをどうしたら、一番早くかつ楽に治してあげられるかに意識がフォーカスしているわけです。





一方、開業医は借金もありますが、成功している人はそれなりに収入もありますから、どういうオプションを付けたら、さらに儲かるか。どこの人件費を削れば、利益が増えるか。評判を落とさないためにはどういう治療をすればよいか、といったことに意識が向いています。それが患者にとって長期的に見て不利益な治療法でも短期的には治ったように見える治療法があれば、そちらを採用します。評判を落として、収益を落とすわけにはいかないからです。そういう人は収入も相当あるわけです。



つまり、仕事には適正な給与水準というのがあって、それよりも低いと仕事の目的に意識が集中し、それよりも高いとお金に意識が集中する傾向があるということです。



こういう感じで世の中を見てみると、適切な給与より多めに貰っている人と、少なめに貰っている人の見分けが付きやすくなります。



そして、破壊的イノベーションを狙うなら、多めに貰っている業界となります。
サービスが行き届いていないはずだから、そこを埋めていけば良いわけです。



さて、最近、なりたい職業の1位が公務員だったりします。



サッカー選手はサッカーがしたいからなりたい。
看護婦は苦しんでいる患者さんを少しでも助けたいからなりたい。
医者は患者を治したいからなりたい。
建築士は家を設計したいからなりたい。
と、その職業の目的となりたい理由が直結しています。



また、同じ公務員でも、
警察官・消防士は地域の安全を守りたいからなりたい。
自衛官は国を守りたいからなりたい。
教師は子供を教えたいからなりたい。


と仕事の内容となりたい理由が直結しています。



でも、一般事務職の公務員の人はどうして公務員になりたいのでしょうか?
より良い地域サービス、みんなが住みやすい地域、みんなが好きになるような地域にしたいという理由で公務員になっている人はどれだけいるんでしょうか?



手堅い収入と身分が欲しくてなっている人がほとんどなんじゃないでしょうか。
ということは、手堅い収入と身分じゃなくなると、逆により良い地域サービス、みんなが住みやすい地域、みんなが好きになるような地域にしたいという理由で公務員を志願する人が増えるということです。