【コラム】外国人労働者受け入れのあるべき姿

少子化対策・労働者不足に優秀な外国人を受け入れる・移民を受け入れるという話がありますが、個人的には反対です。

そんなものを女性と老人を上手く活用すれば、十分埋まるはず。さらにそういう社会を作るために、例えば子供をある程度遅くまで面倒見るとかのサービスを充実させればそれだけで雇用が生まれる。

まずは女性を上手く活用する社会を目指して、それでも足りないなら外国人に頼ればよいのです。女性も男性も優秀さに差はありません。にもかかわらず、優秀な女性が子育てをしたばっかりに現場に復帰出来ず、その高い生産性を活かせないのは国力を半分にしているも同然です。優秀な女性がいつでも再出発出来る社会。それが第一にすべきことでしょう。

また、優秀な外国人なら、日本の生産性を上げるわけだから移民として受け入れても大丈夫だという議論があります。
でも、その子供がそうなるとは限りません。
日本は外国人を外人として一括りにして区別する国です。
優秀に育った子供は中の上くらいの比較的成功している層に入り込みます。
結局、それは移民を受け入れたヨーロッパと同じ問題を産みます。
また、差別にあって、落ちこぼれた子供達はやくざ化します。それに国が補助金でも出そうものならどこかで見たのと同じ問題を引き起こします。

では、何故、移民を多量に受け入れているアメリカがうまくいっているか。それは建前では自由を標榜していながら、高学歴高収入社会に入るのに経済的な障壁と人種による障壁を設けているからです。トップの大学の授業料は年間700万とかのケースも多々あります。マンハッタンの私立の小学校だと年間200−300万必要です。前も書きましたが、日本は成績だけで東大に入れますが、アメリカでハーバード大に入るには、成績+スポーツ・音楽活動+ボランティア活動+良好な授業態度+お金が必要です。移民はちょっとやそっとじゃ、這い上がれないし、上がるにはそれだけのお金や習慣に従う必要があります。要するに何度も踏み絵を踏まされて初めて上にあがれるわけです。
ヨーロッパが失敗したのは、そういうお金による区別化をしていなかったからです。
日本のような総中流社会はもっとひどいことになるのは目に見えています。

それにそもそも本当に優秀な人は日本には来ません。
アメリカの薬剤師の年収は1200万円です。普通に人気のある医師なら3000万円です。看護婦さんでも1000万近くあるでしょう。高学歴の底辺であるポスドク1年目でも350万円くらいはあります。しかも、数年働けば、500万くらいにすぐ上がります。
元々英語を勉強している外国人が、わざわざ最も習得が難しいといわれる日本語を勉強してそれでいて給与がせいぜい400万の日本に来るでしょうか?一流製造業でも700万ですからね。

とすると、残るは介護の仕事を押しつけようという労働者になりますが、定住化の問題を避けるために数年以内に追い返すことになります。でも、果たして本当にそれだけのために来てくれるでしょうか?水商売と違って、介護はきつくて報酬も大変少ない仕事です。
それなりのメリットを付けないと一部の人は闇社会に吸い込まれてしまいかねません。


そこで、介護の期間を日本語の勉強期間としてその後現地代理店の代表者になるように奨学金などをあげてはどうでしょうか。
現地で起業することをサポートするか、すでに現地で起業している関連企業に就職して貰うわけ。
日本での仕事も介護だけでなく、将来関連する業務にも徐々に取り組んで貰う。
ただ最初は日本語も話せないないし、仕事もできない。
そこで介護の仕事をしてもらいながら、老人相手に日本語の勉強をして貰う。
老人は記憶力が落ちていることもあって、同じ事を繰り返しいうことが多い。まさに日本語の勉強に最適の相手です。同じ昔話を繰り返すおばあちゃんとかもの凄く良い教材になってくれる。
仕事の内容も別に複雑ではないし、やることは決まっている。
あとはしゃべれば良いだけ。

もう少し具体的にイメージを書いておくと、中国、ベトナム、タイどこでも良いけれどアジアに生産拠点を置きたい会社が同時に介護サービス会社を立ち上げます。アジアから介護の仕事をする名目で、人を呼び寄せますが、それは日本の文化を勉強してもらうためでもあります。現地にあって、日本にないもの。日本にあって、現地にないものも住んでみればわかるでしょう。

そうすると、そのうち、短期間だけ介護の仕事をしにくる派遣業の会社をその子達が作るでしょう。
日本に来て、自分が困ったこと、こうだったら良かったなと思えるところを修正して、より介護に向いた人達を現地で集めて送り込んでくるはずです。
さらにこんなサービスなら受けるはずと別の起業をしてくれそうです。ないものとあるものを理解した彼らが相互に役立つビジネスを立ち上げてくれます。

これからは日本人がアジアに働きに行く時代だといいます。
英語も満足に話せない日本人が現地で仕事を見つけられるとは思えません。
しかし、上記のように出稼ぎに来たアジア人が立ち上げた会社なら日本で雇ってくれそうです。最初に挙げた女性の問題も意外と彼らが解決してくれるかもしれません。