【コラム】日本の研究者がイタイ理由

そろそろ種明かし。
あのエントリーには二つのトラップが仕掛けられていました。
ひとつはその前のエントリーが釣りではないと書くことによって件のエントリーも釣りではないかのように印象操作している点。

もう一つは後半の釣りの部分に引っかかることによって、日本の研究者のイタイところを自ら証明してしまう点。

まぁ、読めばわかるだろうからやっぱりそんなに沢山は釣れていないわけですが…

ということで、該当エントリーをもう少し解説。

              • -

日本の研究者の一番イタイところは
税金で研究し、税金で給与がまかなわれていることに対する意識の欠如です。

              • -

ここは変わらないところです。例えば、節約を指示するとき、研究費が足りなくなるからとか、研究者としての資質をあげるためだからといったことが理由になることはあっても、使っているお金が税金だからという言葉が出てくることは稀のような気がします。

だから、もっとそのことを意識して、アウトリーチを増やし国民に還元する意識を高めないといけないという考え方もありますが、個人的にはある条件をクリアすれば今のままでも良いかなと思います。むしろ、どんどん使ってやるくらいでも良いのかなと。その条件については別に書いてみます。

              • -

さらにそれを自分たちは優秀だから当然だと思い込んでいるところです。

              • -

一番のポイントはここです。こういう人も確かにいますが、これ以外に何かあるような気がしつつもそれが何か思いつかなかったというのがありました。そこで、この後はこの視点で釣りの文章を付けてみました。自分のことを批判されたと勘違いして、釣られる人もいるかもしれませんが、最初に書いたようにループ構造になっているのでそのことに気付いて何か別の視点を提供してくれるヒトがいることを期待したわけです。

すると、ophitesさんがエントリーを挙げてくれました。
研究費を稼いでいるという感覚です。それが元は税金であることを忘れさせて我がの金のように振る舞いだす原因なのではないかということでした。個人的にもこちらの意見の方がしっくり来ます。
http://d.hatena.ne.jp/ophites/20100514/1273841471

さて、釣られたヒトの意見に少しコメントを書いておくと、

              • -

環境への慣れの問題、組織の迎合主義の問題、結局は上司のモチベーション管理の問題となると思いま す。

              • -

これはそのうちエントリーを書く予定です。

実験技術に精通していて即戦力であるはずなのに何故企業が何故ポスドクを雇わないかに関しては、ざっくり言うと二つ理由が考えられます。
一つは企業側の戦略ミス、もう一つは、やっぱりポスドクは使えないという理由。

企業側の理由は、年功序列、企業理念の刷り込み、習慣、効率的な社畜化などいろいろあるわけですが、もし、自社の技術に相当精通していて、さらに最先端の大学研究所にコネが効き、さらに元々社内にいる人間と先輩後輩でヒトとしてもつながりが強いヒトがいたらどうするでしょうか。自分が経営者なら迷わず雇います。これを雇わないというのならただでさえ国際競争力がないのに全くアホな経営者となります。また、株主に対する裏切り行為ですらあるでしょう。

ということは、逆に上記の条件にフィットすれば、雇って貰えるはずです。「優秀」であるという言葉をこういうシチュエーションに置き換えれば、それでも雇って貰えないのはやっぱり使えないからだということになります。もしくは、その両方ということでしょうね。でも、もっと他の道がありますよというのが個人的な意見です。

最後に釣りとは言っても、研究者が研究バカであるという考えはその通りだと思うし、それで良いと思います。また、メタファーとして乞食を挙げ、文脈上卑しい下位の立場であるように受け取れるようにしていますが、個人的には全くそのようには考えていなくてどちらかというと人間の存在としてはずっと高度な在り方であると思っています。そのことは別にエントリーを立てたいと思います。