【コラム】グローバリゼーションできない日本

折角の材料だったけど、答えが発表されてしまったので後出しになってしまうが考えていたことと答えを見て考えたことを混ぜてつらつら書いていこう。


まず、電機大手がアフリカ開拓を目指しているという。市場を広げるという意味ではわかるけれど、きめ細やかな過剰サービス精神たっぷりの日本の電子機器ではオーバースペックになるのは目に見えている。それでも、数が出るなら少しは利益が出るのだろうか。

日本の電子機器は最初に最高スペックの野心的な機器が出て、その後、スペックダウンした大衆用機器が出て、最後に格安機器が出てくる。

例えば、パイオニアのDVD playerだと、最初にDV-50が50万で出て、その後、DV-30だなんだと30万、10万台の機器が出て、最後に3万円から1万円台の機器が出てくる。
最終的に出た1万円台のDVD playerは最新フォーマット全てに対応しているため規格上は実は最初のDV-50より遙かに高機能である。ところが、コストカットをギリギリまでした製品であるため、音質画質といった本来の機能ではやはり全然敵わない。びっくりするくらいぺらっぺらっな音である。というのはやはり一番効くのは入れ物だったりするからだ。そしてそこが一番コストがかかる部分。でも、アフリカではそんなものは要らないので、そこをさらに安く仕上げる必要があるだろう。

つまり、アフリカで売り込もうというなら最後の1万円台の機器をさらにコストダウンする必要がある。
そのためには現地でどんな仕様の機器が必要とされているか。
インターフェイスはどの程度簡単にする必要があるのか。

そして、一番大事なのは流通経路の確保だ。

どれもこれも現地の文化や経済に詳しくないと話を進められない。

日本人が行ってどうにかなるわけでもないし、現地の日本人なんてまずいない。
とすると、やはり現地の人を雇わないといけない。しかも、売ってみただけでなく、幅広くかつ持続的に売り続けるにはやはり一工夫蓋工夫する必要があるし、それを邁進させるだけのバイタリティーのある人が必要になる。

ところが、日本の企業にそういう人を迎え入れるだけの器量はない。とするとどうするか。流通経路に関しては一本化してしまった方が安くつくので、総合商社を介して現地法人を立ち上げるというのが一番ローコストでローリスクなのではないか。現地の人を会社に取り込んで日本の文化を勉強して貰うのも良いけれど、ちょっと時間がかかりすぎる。それよりはコンセプトだけしっかり立てて、現地法人としてほとんどを現地の人および外国人のスペシャリストで埋める。資本金だけ総合商社と日本の企業で出して、機器の仕様の変更およびアフリカへの商品・部品の輸送経路に関してやり取りする最低限の日本人スタッフを混ぜる。

機器の仕様を決める人材だけ日本に派遣して、何が出来て何が出来ないかを理解して貰い、一層のバージョンアップを図る。これに関しては時間がかかっても問題ないところ。

給与は完全に売り上げ連動性にしてやる気を出して貰う。何故なら、彼らに会社に忠誠を誓う意志や社畜願望は全くないからね。

すると、やっぱり、日本の企業はグローバリゼーションできないままということになる。
これが重荷になって、日本は沈没するかもしれない。でも、それで良いんじゃないだろうか。スクラップ&ビルド。それ以外に日本のみんなが納得して生まれ変わる方法は無いような気がする。それが良くも悪くも日本らしさであって、日本の再生はグローバリゼーションを介して遂げる必要もないし、場合によっては超低空飛行のままでも意外とみんな受けられてしまうのではないか。最近の若者の話を聞くとそんな気がします。