【コラム】雇用はやっぱり大事

管総理の1に雇用、2に雇用、3,4がなくて5に雇用に色んな批判があるけれど、雇用を重視する、雇用をゴールにするというメッセージ自体は決して間違っていない。

池田氏はその雇用を増やすためにはまず経済発展をしなければいけない。順序が逆だと言うけれど、あらゆる立場の人になって考えてみれば、経済発展がすぐに自分の生活改善、生き方の改善につながるとはイメージしにくいのではないか。

日本が80年代みたいな経済状態になるなんてのは誰も信じていないわけだし、かといってどういう経済状況が良いのかもイメージ出来ないはず。
それだったら、目の前にある雇用が改善するように努力しますという姿勢は一番理解しやすいと思う。

ただ、説明不足なのは否めない。管総理が果たしてそう考えているかどうかは置いておいてもう一度考えてみる。


雇用が改善するとはどういうことか。


それはいつでも仕事が見つかるという状態であり、いつでも転職出来るという状態だろう。
さらに言うと、いつでも転勤出来て、いつでも転校出来て、いつからでも働くことが出来て、いつまでも働くことが出来る社会が望ましい。

戦後の復興期っていうのは、やることがいくらでもあった。だから、自分の才覚と照らし合わせて好きな仕事を選ぶことができたんじゃないだろうか。子沢山で貧乏だったけど、あの時代の人達が一番輝いて見えるのはそのせいじゃないだろうか。すべてがやらないといけないことだったし、どうすればよいかも先進国をマネすれば良いだけだった。

また、上記の状態の良いところは、自殺の主な原因であるストレスから逃れられるところだろう。何故なら子供から大人まで、自分にあった仕事や学校が見つかるまで転職転校出来るから。日本の自殺を減らすには実質この方法しかない。

さらに言うと、出産後や育児後の女性がいつでも復帰出来る。働くことが出来なくなるまで老人は働けて、働けなくなったら年金が貰えるようにすれば、年金不足も問題なくなるし、十分な年金を貰えるようになる。結果、年金の心配をする必要がなくなります。

また、いつでも仕事が見つかる環境になれば、将来の心配をすることなく自然と子作りもするから少子化も解消される。


そういう社会にしたいんだというところまで言うべきでした。
その上で、そのためには法人税を一気に下げて、日本の企業が海外に出て行かないようにして、海外から企業を呼び込み。規制を撤廃する。

で、それはわかっているようで、法人税はとりあえず何とか5%下げた。代わりに増税が増えたことを批判する人もいるけれど、今のところそれはしょうがないし、そこがそれ以上増税できないところまで行けば、他のところが削られ始めます。要は順番が変わるだけです。


そして、雇用の流動性です。生産性の高い部門に生産性の高い人を集める。
そのために退職金を廃止して、クビを切る1年前に宣告する義務を課す。クビを切る際の理由はどんな理由でも構わない。(こいつ、ちょっと気に入らないでもOK)女性や障害者を雇用、および育休を認めることでさらに法人税が下がるようにしても良いでしょう。

とにかく、労働力の流動性を上げた会社ほど規制や税制の優遇措置を作ることでインセンティブを与えればよいのではないでしょうかね。

で、それは民主党にはできないと言われますが、良い格好しいの菅さんだからこそ今こそ「民主党をぶっ壊す」と小泉さんのマネをすれば良いんです。
今なら総選挙すれば大敗ですから、解散総選挙をネタに揺さぶりをかければ良いんです。
もう総理大臣になったわけだし、政治家としては上がりです。まぁ、その一巻として法人税減税を無理矢理やったんでしょうけど、もっと国民にその理由を説明すべきでしょう。池田信夫の話を聞いている国民は5%もいないけど、総理大臣の言うことなら半分以上の国民が耳を傾けるわけですから。

ところが、労働力の流動性アップは菅さんにはできないんですね。
というのは、これをやると、実際は、能力のある人の給与が上がって、そうじゃない人の給与が下がるんです。
恐らく、10%くらいの人の給与がドカッと上がって、残りの人の給与が一気に下がったり、転職せざるを得なくなります。この話に労働力の流動性を主張する人はあまり触れない。結局、それがポジショントークだからです。解雇規制の撤廃を主張している人のほとんどの人が、自分の力で生きていける人達です。

菅さんは元々そうじゃない人の味方な訳だからそれは受け入れられないわけです。つまり、菅さん的に狙いたいのは、給与にそんなに格差がうまれず、それでいてみんなが雇われている状態です。だから内部保留がある会社がもっと人を雇えと言う訳です。

しかし、それでは国際社会の競争には勝てない。
労働力の流動性を主張する人の本当の狙いは、社畜から開放された人が起業してイノベーションを起こすことなんですが、それでも半分以上の人の給与や社会的地位が下がるでしょう。

結局、どちらの政策を取っても、国や会社に頼った生き方をしていると貧乏くじを引くだけです。

そういう人達もそれなりに満足出来る方法はないものかとずっと考えているのですが、思いつかないので、もう少し考えてみます。
法人税をもっと下げるのは一つの方法なのですが、それが雇用を増やすとは限らないから厄介なのです。とはいえ、溢れんばかりの働き口の確保は色んな問題を解決しますから魅力的です。
さらに問題を複雑にしているのが、解雇規制の良い面です。それについては次に書いてみます。