【コラム】癌になるのを防ぐ方法
先日の記事は、どうもちゃんと読み取れていない人がいるみたいなので、もう少しかみ砕いて要点だけ書いておきます。
子供に限った問題点は、成長の過程で放射性物質の体内蓄積をしてしまうことです。
特に問題なのが、甲状腺癌です。しかし、全く対策をとらなかったときの発症率が10万人に10人という数字はそれだけ子供のDNA修復能力が高いからというのが、適切な見方でしょう。もし、高齢者並みのDNA修復能力しかなかったら軽く3桁にいっていたはずです。
そういう意味ではそういった子供達が高齢になったときどうなるのかという事については予断を許しません。しかし、甲状腺癌になることをケアしていた子供達が、将来10万人中1000人(100人に1人)甲状腺癌になることは考えにくいです。
とはいえ、子供の方が残されたライフスパンは長いので、その分影響は長いし、多いと言えます。長期間にわたるケアが必要です。
外部被爆に対する修復機能では子供の方が高いので、もし、低放射線の外部被爆を例えば3年間だけ浴びるとしたら、その影響は大人より子供の方が低いです。
よって、子供にとっては内部被爆の方がより問題だと言えます。そして、大切なのは発がん率をちゃんと把握することです。
放射能がなくても、人の細胞一つは一日に付き、50万個のDNAダメージを受けていると見積もられています。30億中50万です。およそ0.0167%です。
これらのダメージのほとんどはDNA修復機構によって修復されます。
このダメージの主なソースはミトコンドリアの酸化的リン酸化の過程で生じる活性酸素によるものだと考えられます。これらのダメージは放射能によるものとほぼ同じと考えて差し支えありません。放射能によって、どれだけのダメージがあるかを見積もった数字は見つけられませんでしたが、低放射能だと、3000とか、低ければ、100とかの数字になるものと思われます。高くても10万程度でしょう。
がんセンターが発表したように、日常生活の中に癌の発生率を上げるものがあります。
運動不足、喫煙、受動喫煙、野菜摂取不足などです。これらも最終的にはDNAダメージを引き上げる効果があると考えられます。
つまり、癌化につながるDNAダメージは、大半を占めるミトコンドリア由来の酸化ダメージに加えて、日常生活で生じるもの、さらに原発の近くだと、放射能によるものが追加されると考えられます。
絵に描くとこんな感じです。
尚、棒グラフになっていますが、これらは定量値に基づく正確な値ではなく、あくまでイメージ図です。
左側が細胞が受けるダメージ、右側が修復機構によって修復される数になります。
DNA修復には必ずもれが出てきますから、左側の方が多くなります。
癌化のしやすさは左側と右側の差分の高さと考えて下さい。(大人と老人はこんなに差があるわけではありませんが、わかりやすくするため強調しています。)
子供はDNA修復能力が高いので、差分は小さくなっています。だからといって、子供が癌にならないわけではありません。
また、もし、放射線量が3-4Svと大幅に高くなった場合、上の赤いバーを飛び抜けて、JOCの事故のように死に至ります。
ここで、大事なのは何も放射線だけが特別なダメージソースな訳ではないということです。
では、トータルで見て癌を減らすにはどうしたらよいでしょうか。
私が子供と一緒に原発近くから避難していたとして、幾つかの仮定の下に書いてみます。
赤い部分を無くす一番簡単な方法は西日本に引っ越しすることです。
我が家では間違いなくこれが1st choiceです。子供だけ疎開させるべきという人もいますが、私はどちらかというと大人の発がんの方が怖いので、家族で移住するべきだと思います。但し、これが出来る人はそんなに多くありません。
家族で移住することだけをサポートするNPOを立ち上げて、そのためだけに特化した寄付を集めるなんてもの一つの方法だとは思います。
しかし、実際には、佐賀県や大阪市などが避難所を設営してくれていましたが、残念ながらそれらを利用した人はいませんでした。この辺の理由を掘り下げて報告して欲しいものです。
ひとつは仕事がないからということもあるのでしょうが、少なくとも一人や二人なら、男気のあるどこかの社長さんが雇ってくれたはずです。
よって、移住先で働く場所の目処がなければ、佐賀県や大阪市に問い合わせをして、仕事も探してくれとお願いしたでしょう。
次に住み慣れた土地を離れたくない。避難民には避難民にしかつらさは分からない。ここを離れたくない。などの理由で避難しないことを選んだ場合です。
何も知らなかったチェルノブイリの被災者達の子供の甲状腺癌が10万人中0.1人から10人に増えたわけですが、今は甲状腺癌が一番気をつけないといけない癌だと分かっています。そのためには放射性物質のヨードの体内蓄積を少しでも減らすようにすればよいわけですから、恐らく一桁前半くらいには減らせるはずです。
むしろ、怖いのは白血病の方です。但し、例えば、子供全員が白血病になるとか、そういうことはないわけです。通常だと10万人中6人です。これが統計学的に有意に増えていないことから増えてもせいぜい9人くらいでしょう。
10万人中9人が自然発生も含めて白血病になるとして、どうやって防いだらよいでしょうか。
それには、図の赤の部分と青の部分を出来るだけ減らすことです。
但し、どんなに減らしても「絶対」はありません。しかし、その確率を大きく下げることは出来るでしょう。はっきり言ってしまうと、癌になるかどうかは運です。
自分の子供が10万人中十数人に入るかどうか、仮に20人としても0.02%です。
これは5000人に1人です。高校10校に1人な訳です。
できることは限られています。でも、それをやることで、5000人に1人にならない確率はかなり上げられます。
- たばこは吸わない。近づかない。
- お酒は飲まない。
- 規則正しく睡眠を7時間はとる。
- 毎朝、2,3km散歩する。ストレッチなど整体運動をする。(これらは出来ていません。)
- 寝る5時間前以降は何も食べない飲まない。
- お肉は多くとも、一日1食。食べるとしても少量でお肉を食べない日も設ける。
- お肉や野菜は出来るだけ新鮮なものを購入する。
- 野菜をたっぷり食べる。
- 食べ過ぎない。塩分のとりすぎは避ける。
- 乳製品は一切食べない。
- 卵は週に一つくらい。
- コーヒーやジュースは一切飲まない。
- 化学調味料は一切使わない。
- 食べ物はオーガニックのものしか食べない。
- 適度な運動をする。
- 毎日、日光を適度に浴びる。
- 日本食中心の食事をする。
- 水分は1日2リットルはとる。食前30分に少なくとも500mlの水を飲む。
- 白米は食べない。3分づき米を食べる。
- お菓子や果物など甘いものは一切食べない。特に子供。
- パンも出来るだけ食べない。
- インスタント食品は食べない。
- 缶詰ものは食べない。
- 冷凍食品は買わない。
- 油っこいものは食べない。
- こげが出来た食べ物は食べない。
- ガムは食べない。
- 生肉を使った時以外、食器を洗うのに洗剤は使わない。
- 股部以外に石けんは使わない。
- シャンプー、リンスは使わない。
- 浄水器を使う。
- 髪を染めない。パーマをしない。
- 電磁レンジは使わない(我が家にはありません)。
- 大人の場合、コーヒーエネマをする。
- 電動歯ブラシは使わない。
- 毎食後、歯間ブラシを使う。
- 寝る前に舌ブラシを使う。
- IHは使わない。
- 空気清浄機を使う。
- 排気フィルターの付いた掃除機を使う。
- 高圧線や火山活動が強いところの近くには住まない。
- 子供にPC, iPadを含めて電子機器は使わせない。電池で動くものも使わせない。
- 使わないときは無線LANやPCはオフにする。
これらに加えて、原発の近くに住んでいる人は武田氏のアドバイスも実行してみましょう。
尚、うちではこれらのうち、9割くらいは実行しています。これらは癌にならないために考えて実行していることですが、恐らく間違っているものもあるでしょう。また、大半は統計学的な有意差が出るような対策ではないでしょう。但し、これだけやって、5000人の1人になるんだったら、運が悪かったと諦めもつきます。
気を付け過ぎというのが、普通の人の感覚でしょう。はっきり言って、やり過ぎです。でも、これだけやっているからこそ、引っ越しが1st choiceになるわけです。
私がここで書いているのは、極々一般的なことです。医師や生物の研究者なら誰もが分かっていることです。なのに、どうして、こんなにアクセスを集めるんでしょうか?
それは、空恐ろしいくらい誰も説明しようとしてないからです。それについて次回書いてみます。