【コラム】何故ワンピースは面白いのか?

自分にとって、何故ワンピースは面白いのかを書いてみます。
以前も書きましたが、最初は絵柄が受け付けられず読まず嫌いの状態でした。
読み始めたのはウォーターセブンの辺りからでしょうか。

とりあえず、ストーリー毎の簡単な感想を。


『冒険の始まり』 1巻〜3巻
昔あったダイの大冒険とかのドラクエ漫画まんま。
こんな遅いテンポでよく打ち切りにならなかったものだと感心しました。
こういう王道戦闘もの漫画はとりあえず最初の10週は乗り切りやすいのかもしれません。


『キャプテン・ウソップ登場!』 3巻〜5巻
まだまだドラクエ漫画っぽいですが、最後の戦いは少し今後が期待出来そうな展開でした。


海上レストラン バラティエ』 5〜8巻
この辺かららしさが少し出てきます。でも、まぁ、普通に面白い程度です。


『アーロンパーク』 8巻〜11巻
ワンピのひな形ストーリー。

ベルメールさんはある意味禁じ手ですよね。

『グランドライン』 11巻〜15巻
あんまりワクワク感がない展開でしたが、つなぎとしては十分。

ヒルルクの桜 』 15巻〜17巻
禁じ手を使った後なので特に印象に残らず。これが一番好きという人もいるようです。

『決戦はアルバーナ』 17巻〜23巻(12巻〜23巻)
話を作るのが上手くなってきています。


『神の島 アッパーヤード』 24巻〜32巻
これも同様。


『DAVY BACK FIGHT』 32巻〜34巻
個人的には結構好きな話です。スリラーバーグもそうなんですが、海賊といえどその日常のほとんどは戦闘ではなくて、宴であったり、舵取りであったり、食事したり、運動したり、ただぼっーとしているだけ、つまり、本当に生活しているだけなはずです。

『ウォーターセブン』 34巻〜45巻
世界観が拡がったおかげで読者の予想を裏切る展開を魅せられるようになってきました。列車での戦闘は面白かったです。


『スリラーバーグ』 46巻〜50巻
唯一戦闘ものとしてまともな展開をみせた話でしょうか。
戦闘ものの話としてはこれが一番好きかな。


『シャボンディパーク』 50巻〜52巻
もう一回風呂敷広げる話。


『女ヶ島の冒険』53巻〜
話のスイッチ具合が良かったです。ハンコックの展開も予想外。


『海底監獄インペルダウン』54巻〜56巻
レベル6の話はもっと掘り下げられるんでしょうが、後々出てくる敵ということでしょうか。


『頂上決戦』57巻〜59巻
登場人物が多すぎて、結構ぐだぐだでしたね。


さて、これらの中で特に印象に残っておるシーンを挙げるとすると、
第1位
断トツでこれです。ロビンを助けるために橋の建物の屋上に並んだとき。

第2位
ベルメールさんがナミをかばって、死を選ぶシーン。

第3位
ロビンの母ちゃんがロビンを助けるためにロビンを無視して連れて行かれるシーン。

第4位
ロビンが助けてーとさけびながら橋にかぶりつくシーン。

ロビンばっかりですが、基本的に母子のつながり関連の話に弱いようです。
ワンピのことが頭から離れられなくしているのは基本的に上記の4つのシーンのせいです。

さて、ワンピの他にも人気のある漫画はありますが、同じ戦闘ものでも人気がそこまで出ないものと出るものがあります。

昔は、ただ戦っているだけで良かったんですよ。リンかけキン肉マンドラゴンボールあたりでしょうか。

その後、北斗の拳で少し敵に色づけを始めましたが、必然性というにはやや弱い色づけでした。ただ趣向を凝らすきっかけとしては十分な働きをしたといえるでしょう。そして、敵キャラを少し変えるだけでは結局行き詰まることを示したという意味で大事な役割をしました。

また、敵がインフレしていくだけの漫画はドラゴンボールが極めてしまったので、違うアプローチを取る必要が出て来ました。そして、生まれたのが、るろうに、富樫漫画、ジョジョ、そして、ワンピでした。


何故、富樫氏や荒木氏の漫画は面白いのか。ワンピにも共通してあり、昔のジャンプ漫画に無かった要素があります。
それは丁寧にリアリティーを持たせて脇役(敵役)を描いているという点です。
強い敵だけなくて、そうじゃない脇役キャラもしっかり描く。特に富樫氏の漫画はそれを徹底してやりました。さらにそのキャラ設定によって、主人公の行動が変わるというのが大事なポイントです。ちょっと変わったキャラがいるだけでは駄目なんです。


一方、富樫氏、荒木氏の漫画ではあまり使われないけど、ナルトやワンピでよく使われるのが、家族愛です。ナルトとワンピースがアメリカで受けているのは、家族愛が世界共通だからでしょう。
一方、富樫氏、荒木氏の漫画では共に変な人のディテールを追いかけることが多いため、文化的背景の違いが大きい人には理解出来ないということも起こりやすくなります。

また、ワンピの戦闘は結構いい加減なのに面白いということはそれ以外の要素が効いているともいえます。

結論として、面白い戦闘漫画の条件とは、
1)戦闘していないシーンでどれだけメインキャラを描ききれるか。これは結構昔からそれなりに頑張ろうとしていたところですが、それ以外に
2)血がつながっていなくても、家族愛を絡めること。
3)脇役のディテールをちゃんと描くこと。さらにそのディテールが、主人公の行動の選択に影響を与えること。
といったところでしょうか。

3)は富樫氏が極めてしまいました、2)はワンピが少年漫画としては反則技的な部分まで使ったのでこれ以上はお下劣でしょう。すると、ワンピ以上の漫画が出てくるとしたら、1)をどれだけ予想外に展開出来るかです。ここのアイデア一つでワンピを越えることが出来る可能性があります。