【コラム】アメリカのサービスの質が良くない理由

昨日までの話は別にアカデミアだけの話ではありません。
ビジネスの世界や、政治の世界でも共通してある話です。

しかし、ビジネスや政治の世界でグレーなやり方なんてのは少しピンと来ない話なので言い換えると、ビジネスは詐欺的なやり方で、政治は元々騙し合いという説明がわかりやすいでしょうか。

政治の話はおいておくとして、ビジネスの話。

アメリカに来て、びっくりするのはとにかく金持ちが多いこと。
アメリカの生活保護であるフードスタンプを貰っている人は4000万人くらいいるらしいんだけど、ちょっと郊外の高級住宅地に行くと大きくて綺麗な家が並んでいる。日本だと上手くやっている会社の社長が住むような家です。普通に会話していても、別荘を2,3件持っている年配の人も結構いる。

貧乏な人がいるのはわかる。でも、日本だと部長さんクラスの人が日本の係長補佐クラスの人数分くらいいるような印象を受ける。

一方でそれを裏付けるかのようにとにかくものの値段が高い。

もちろん、堅調に物価が上がっているアメリカと、デフレで物価が上がらない日本を比べているからという面もありますが、例えば医療とかの値段をみればその異常さがわかります。

盲腸の手術で入院して300万円とか、1.5cmの裂傷を洗浄後、テープで留めて10万円とか、日本と比べて一桁違うお金が請求されます。

ものの値段って、時給と原材料費にサービス料金を乗せるとだいたい計算出来ますが、何をどう考えても粗利益率が半端ないわけです。市場原理が本当に働いていたら、もっと安いサービス料で商売する人が現れるはずなのですが、何故かそういうサービスは貧乏人用にしかない。

結局、どういう事かというと、格差社会において提供されるサービス料金は、時給と原材料費といった固定費で決まるわけでなく、客のお金の持っている具合によって決まっているということです。

つまり、サービス内容と料金が連動していないんですよ。

その結果、どういうことが起こるかというと、跳ね上がった料金をごまかすためにちょっと見栄えの良いサービスを追加するんですね。料金の額に見合ったサービスを追加するのでなく、いかに見栄えの良いサービスを追加するかが肝です。


日本は規制が厳しくて、市場原理が働いていないとよくリバタリアンが書いていることがありますが、もの作り、サービスにおいては思いっきりシビアに料金が決まっているのが日本です。それは、サービス内容と料金がきっちり連動しているからです。だからサービスを向上しようとして、結果、世界一サービス過剰な国になったわけです。

良い意味で市場原理が働いているのは日本だけという言い方も出来ます。

こっちはサービスとお金の取り方が客層によって変わってくるので、絶対的なサービス競争が起こりにくい面があります。だからこそ、グーグルが生まれたという面もあるのですが…